よくマーケットでは、国の政策や中央銀行に逆らうなといわれる。 これは、相場を相手に投機や短期投資を挑む人たちの間で、過去に幾度となく痛い思いをさせられながら培われてきた教訓である。
相場は、しょせん力の世界である。 時間に制限がなく、大きな資金力さえあれば、相場を上でも下でも思うように持っていける。 そいういった相場というパワーゲームを、どう泳ぎまわるかで投機や短期投資の勝ち負けが決まっていく。
その意味では、国や中央銀行など無限に近い力を発揮できる相手には、どう逆立ちしても勝てっこない。 だから政策や中央銀行に逆らうな、むしろお先棒を担いでついていけというわけだ。
われわれ長期投資家は、そんな教訓など無視である。 そもそも相場を相手に投資しない。 どんな時でも、投資価値を追い求めつつも、経済合理性を尊んだ行動に徹する。
国の政策や中央銀行の金融金利政策が経済合理性に則っているのであれば、それを先取りした投資を積極的に進める。 時と場合によっては、まわりから相当にリスクを取っているように見える投資も果敢に展開する。
しかし、その逆の経済合理性に反した政策に長期投資家が乗ることはない。 いかに国や中央銀行の政策だろうと、まったく無視して我が道を行くかのように長期投資を進める。
ちょうど、いまがそうだ。 28兆円の大型景気浮揚策も、成長戦略の名の下で官庁では予算配分の付け替えや、利権がらみの予算分捕り合戦が続いている。 その中で持ち上がる投資テーマなど、一時のもので終わってしまうだけのこと。 追いかける価値はない。
また、日銀のマイナス金利や異次元の資金供給など、健全な経済運営からどんどん遠ざかっている。 そんな政策についていって得るものはない。
たとえば、こんなところで国債を買ったところで、上値はもうほとんど期待できない。 それどころか、保有している間の利金収入はマイナスである。 つまり、投資価値はゼロ以下ということだ。
それよりも、いずれ起こる債券相場の崩れからは一線を画しておくに限る。 国債価格の下落と長期金利の急上昇で、とんでもない混乱に巻き込まれる愚は、早い段階から避けておくのが長期投資というものである。
別に、政府や日銀に反旗を翻しているわけではない。 ただ、とてもついていけないから、ここは経済合理性に則った長期投資を進めていくだけのこと。
★広告 さわかみグループが支援した映画「ザ・テノール」のDVD発売中! あの感動をぜひもう一度!! http://scpshop.jp/