熟柿が落ちるように

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世界の金融マーケットは、いまだ楽観論が主流派のようだ。

インフレが収まってきたとか、金利上昇はそろそろ打ち止めとなるとかで、株買いが続いている。

さすがに、今日の東京市場では大きく下げたが、最近の騰勢に対するスピード調整だとする観測もある。

相場動向や今後の見通しに関し、どう判断するかは投資家や市場関係者の自由。

われわれ本格派の長期投資家は、目先の動向など無視して、いつでも経済の大きな流れを重視する。

その観点からすると、世界的なインフレ圧力も、それに伴った金利上昇も、決して甘くは見ない。

ちなみに、インフレ動向だが、かりに上昇スピードが落ちてきたとしても、そこで考え違いをしてはならない。

ここまでのインフレによる価格上昇のほとんどは、元の水準には戻らないのだ。

つまり、価格体系全般が押し上げられたわけで、その水準に経済活動がシフトを余儀なくされるのだ。

企業でいえば、人件費や仕入れコストの上昇を織り込んだ経営を強いられ、それだけ利益が圧迫される。

となれば、業績予想の下方修正が出てくるのは、いよいよこれからだ。 株価にも、なんらかの悪材料となる。

金利上昇でみても、米国の短期金利は5%台に乗ってきた。 長期金利は3.7%~4%で推移している。

この金利水準を考えるだけでも、長く続いたゼロ金利時代に展開された投資や契約は足元が揺らいでくる。

判りやすい例を挙げると、信用力の低い企業などが発行したジャンク債だ。

ゼロ金利だったからこそ、2%~5%の利回りに魅せられて、世界の金融機関や機関投資家は買い群がった。

ところが、いまや米国の国債が3.7%~5%の利回りでもって、マーケットで流通している。

信用力の低いジャンク債を保有するよりも、よほど安全だと乗り換え売りが、いつ出てきてもおかしくない。

ジャンク債からの乗り換え売りが殺到しだすと、ジャンク債の値崩れで流通利回りが急騰する。

それは、長期債利回り、つまり市場金利を一気に押し上げることになる。

あるいは、ここまでの金利上昇でも、ジャンク債を発行してきた企業の経営を相当に揺さぶっているはず。

もう、いつどこで経営破綻が起こってもおかしくない。 それは、あちこちの企業に連鎖しよう。

これらのどれをとっても、もはや避けれらない展開と考えられる。

そう、壮大な金融緩和バブルが、もういつ崩れ出してもおかしくない状況なのだ。

まさに、熟柿がドサッドサッと落ちるように、世界の金融マーケットが大崩れに入っていくのだろう。