日銀は2%インフレでもって景気浮揚をという方向で、強引な金融政策を連発してきた。
国債を片っ端から購入して、市中に資金を大量に供給すると同時に、金利を低位に固定化させてきたわけだ。
今も、10年物国債利回りが0.25%を越せさせないよう、無制限に近い買い取りを実行している。
その結果、日銀が保有する国債は527兆円と、国債発行残高の50%前後を占めるまでになった。
また、株式ETFを37兆円も買いまくって、日本最大の株主にまでなってしまった。
株価が大きく下げる時などには、すかさず買いを入れて、株価上昇を下支えしてきたわけだ。
国債の買い増しも、株式ETF買いも、紙幣をいくらでも刷れる中央銀行の特権を生かしてのもの。
逆をいうと、資金は無限にあるのを良いことに、市場での価格形成を大きく歪めてきたことになる。
金利は上げさせない、株価は上昇させる、その方向で日銀は市場の価格形成に深く関与してきたわけだ。
より正確にいうと、日銀は資金量でもって強引に市場の価格形成を方向づけしてきたわけだ。
よく市場の声を聞くとあるが、それは市場での価格形成がまともであってはじめて意味と意義がある。
市場には、ありとあらゆる人々が自由に参加して、それぞれの利益を追求しようとする。
そこでは、その時々の需要と供給の力関係でもって価格が形成され、その価格情報が次なる経済活動の指針となっていく。
それが故に、出来るだけ多くの参加者が自由自在に市場に集まって、自分の利益追求することが肝心。
それでもって、より公平で公正な価格形成が時々刻々となされ、その価格情報が次なる市場参加を誘うことになる。
ところが、日銀はそういった市場での価格形成を、この10年間ずっと歪めてきたのだ。
歪めてきたというよりも、日銀は力まかせで押しつぶしてきた。
その結果の金利水準や株価は、経済の実体をどこまで反映しているか、誰もわからなくなっている。
また、そういった官製相場をベースに打ち出す金融や経済政策が、どこまで経済の現状を反映させているのか?
はっきり言って、無茶苦茶である。 それが、日銀がこだわっている金融緩和政策である。
それに対し、世界からインフレ圧力を背景とした金利上昇という、経済合理性の黒船が押しかけてきている。
巨大な津波に逆らうようなもので、そのうち日銀は押し流されよう。
ひどい混乱は避けようがないが、どこまで日銀はその責任を負う覚悟なのだろうか?