企業価値向上表彰

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 東京証券取引所が5年前から、上場企業の企業価値向上意識を促進すべく、優秀企業の表彰制度というのをやっている。

 ずっと選定委員の一人として参加させてもらっているが、この5年間の変化には正直いって驚かさせられるものがある。

 なによりも、上場企業の間でこの制度の意義と有用性が、すごい勢いで認識されだしているのを実感する。 企業価値向上というものが浸透してきているのだ。

 当初は上場企業の認識はそれほど高くなかった。 ところが、年を追うごとに企業価値を高めることが投資家への信頼につながり、株価にもプラスとなることがはっきりしてきた。

 それで、どの企業も東証からのデータ提出要請にも積極的に応じるようになってきた。 同時に、これが一番重要なことだが、各企業の間で具体的な数値目標を経営に反映させる意識が強まってきた。

 その結果、新興企業など小回りの利く経営をしているところのみならず、古い業態に属する大企業の間でも経営数値の向上目覚ましいところが続出するようになっている。

 ところで、その表彰制度だが東証の事務局が中心となって、いろいろな経営数値で各社を第一次スクリーニングし、先ずは119社を選び出した。 その上で、詳細なアンケートを実施して上位50社を決定し、先週末に公表するという運びとなった。

 今年の上位50社は、東証のHPに載っているから、それを参考にしてください。 おもしろいのは、昨年までの選定企業の株価が株式市場の平均を大きく上回っていることだ。

 企業価値向上で最終スクリーニングに残った優秀企業の株価平均が、TOPIXや日経平均株価をはるかに上回った値動きをしているのだ。

 すなわち、企業価値向上表彰制度で公表される企業は、投資家の間でもっともっと参考にしていい情報といえよう。 とりわけ、相場動向が弱含みの展開にあるような時に、下値安心感で買える銘柄群として貴重な情報となる。

 ちょっとだけ長期投資家の観点から付け加えると、もっと面白い利用方法がある。 それは、将来どこかでこの企業価値表彰優秀50社に顔を出してくることになりそうな企業を、ずっと早い段階で発掘して買い仕込んでおくことだ。

 財務的にも経営数値的にも、どちらかというとショボイ会社がピカピカの企業に変身していく過程で、株価は大きく化けるもの。 時には5倍とか7倍となることも、しばしばである。

 これが、長期投資の一番の醍醐味である。 一般の投資家の認識が一挙に高まる時の株価上昇を一度でも実体験すると、もう長期投資は止められなくなる。

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