平城宮でのオペラ

Browse By

 すごいオペラ公演をやってしまった。 奈良の平城宮跡地にある大極殿という巨大な建造物には、「トゥーランドット」という最大規模のオペラしかないだろうという、主催者の判断がズバッとはまった、そんな感じ。

 22日は第2幕までやったところで、雨が降り出して残念ながら第3幕は無しということになった。 その日のオペラは中断したものの、来場いただいたお客様には第2幕までの感動が残影のように心に刻まれた様子で、口々に「良かった、最高、大満足」と仰っておられた。

 24日はギリギリ最後まで天気がもってくれたから、こちらは文句なし。 壮大なオペラが夜空に夢絵巻のように浮かび上がり、舞台も観客も「トゥーランドット」の物語で一体となった2時間40分だった。

 なんともいえない感動に包まれて帰路に着く。 オペラ愛好者はもちろんのこと、はじめての方々にも、オペラって最高の贅沢だねということを全身で味わってもらうのだ。

 主催して実感したことだが、舞台に立った歌手や演奏家たちはもちろんのこと、裏から支えてくれているスタッフたちも、皆がやはり感動に包まれているのだ。 彼ら彼女らは、この感動のために生きているといっていい。

 すこし自画自賛になるが、「どうせオペラやるなら、最高のものをやってやろう」とする我々の理念と意気込みが、しっかり根付きはじめているようだ。

 すくなくとも、イタリアから来てくれている人達には、「こちらがどれだけ本物を求めているか」が、はっきりと伝わっている。 世界のオペラ界に跋扈しているエージェントなどは一切つかわず、オーディションを通して真に実力のあるオペラ関係者を選ぶことからして、イタリアにはこちらの本気度を示している。

 やや問題があるのは、むしろ日本の方。 これまで、多額のお金を積んでイタリア他からオペラを招聘してきた経緯もあって、お願いベースの根性が浸み込んでいる。

 中途半端な人間は即座に帰国させるといって毅然とした、うちの対応に日本側の協力者が面食らっている始末。 本物を追い求めるには、それだけの厳しさが欠かせないのにね。

 ともあれ、今回の成功は早速イタリアで報道されることになった。 さわかみオペラ財団が主催する、ジャパン・オペラ・フェスティバルの本物志向は、オペラの本場イタリアから発信されていくのだろう。

 今日は、浜離宮ホールで19時から室内楽でヴィヴァルディ、28日はサントリーホールでガラコンサート。 どちらも、ボローニャ・フィルハーモニーが演奏してくれるが、彼らの芸術心は天下一品。 先ずは、ともあれ聴いてみてください。

 ★広告 さわかみグループが支援した映画「ザ・テノール」のDVD発売中! あの感動をぜひもう一度!! http://scpshop.jp/