偉大な投資家、ジョンテンプルトンが残した偉大なる相場格言がある。 相場は恐怖と絶望の淵に生まれ、不安と懐疑の中で育っていき、 歓喜の幸せとともに消えていく。 すごい洞察力である。
さて、いまはどの辺りだろうか? 多くの人々は、世界中が景気低迷やデフレ現象に喘いでおり、株価なんて上がる状況にないというだろう。 すこし株式投資に手馴れた人なら、”相場は底を打ったようだ、しかし経済環境からはとても株を買う状況には至っていない” といった、いまだ相場上昇には半信半疑の反応が返ってくるぐらいだろう。
テンプルトン流にいえば、株式市場はまだ ”不安と懐疑にさえも届いていない” 段階かもしれない。 株価全般は大底を打ったかもしれないが、このまま上昇トレンドに入っていくと想定するのは楽観的に過ぎる、そう考える投資家が大半なんだろう。
ここで問われるのが、将来イメージ力である。 われわれ長期投資家は相場動向などに右往左往しない。 その代わり、将来に向かってなにをやっておくべきかは絶対的に重要視する。
いまなら、こんな感じだ。 世界人口は70億人を超し、毎日16万人ずつ増え続けている。 同時に世界中の人々がより豊かな生活を求めて止まない。 好例が中国で、最近は天安門広場の映像を見るに自動車の洪水である。 といっても、13億の民のうち自動車を保有しているのは、まだ1億人に過ぎない。 少なくとも6億人から7億人は自動車を買いたくて仕方がない状態にある。
世界人口が増え続け、より豊かな生活を求める人々の潜在的な需要爆発を考えてみよう。 もう既に現実となってきているが、これから先エネルギーや食料に水、そして工業原材料に対する需要がどれほど膨れ上がっていくか、もう想像を絶する。 ほんのちょっとでも供給力に支障をきたすと、価格は急騰を免れない。 つまり、構造的なインフレ要因が将来に向けてずっと横たわっているのだ。
もうひとつは、先進国中心に異常なまでに大量の資金をばら撒き続けていること。 金融不安を起こさせない、なにがなんでも景気を回復させるのだを優先してのこと。 だが、これは劇薬でもある。 景気回復が見えてくるとともに、お金が暴れだす状況つまりマネタリーインフレを招くのは避けられない。 また、長期金利の上昇と国債バブルの崩壊にもつながっていく。
こういった将来展望に、どこか読み違えはあるだろうか? 世界中の誰もがより豊かな生活を求めて止まない。 そして、金融不安や景気低迷あるいはデフレ現象から一刻も早く抜け出したいと願うのは、万人の願いである。 となると、如何に劇薬だろうと世界中の政府はお金をばら撒き続けざるを得ない。 時間的なずれはあっても、構造インフレやマネタリーインフレの到来は不可避である。
となれば、できるだけ早い段階から、モノの生産力と供給力の増強に焦点を当てた投資戦略を立てておくべきだろう。 つまり、銘柄を選び込んだ株式投資のポジションを目いっぱい高めておくことだ。 一方、いずれお金の価値が下がっていくわけだし、こんな超低金利では預貯金などに魅力は感じられない。 また、国債保有なんて悪夢を見るだけである。
ほんのちょっと長期で物事を考えると、やっておくべき事と、やってはいけない事が、明確にみえてくると思うが如何ですか?
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