世の多くの投信ファンドは、その付き合い方をわきまえて購入した方がいい。 投信に付き合い方があるなんて妙な話だが、日本では財産防衛のための必須事項である。
投信はもともと一般生活者や小口投資家の財産づくりをお手伝いすべく、スコットランドはエディンバラで自然発生的に生まれ育ったもの。
本来ならば富裕層など大口投資家しか手の出ないプロの運用を、一般庶民の誰でもが自由に参加できるように仕立てられた、きわめてすぐれた投資商品である。
したがって、投信との付き合い方など改まって考えるまでもないこと。 きちんと財産づくりをしたいのなら、投信を資金の余裕ある毎に少しずつ購入していって、あとはプロの運用に任せておけばいいと、はじめから決まっている。
ところが、日本では4000本を超す投信ファンドのほとんどが、手数料を稼ぐための金融商品といった位置づけにある。 投資家顧客の財産づくりの前に、証券会社や銀行などの販売手数料稼ぎが優先される。
販売手数料をガッポリ稼ぐには、次から次へと新しいファンドへの乗り換え営業を徹底するに限る。 それが故に、4000本を超す日本の投信ファンドの平均寿命は3年にも満たないわけだ。 そんな投信では、長期の財産づくりなど望むべくもない。
この辺り、金融庁など監督官庁はかなり前から問題視していて、折にふれて是正を投信業界に求めてきた。 悲しいかな、日本の投信ビジネスは証券や銀行といった販売サイドに牛耳られている。 販売サイドは、飯の種をそう簡単に手放そうとはしない。
現に、高齢者層中心に毎月分配型の投信を望んでいるというニーズを前面に押し出しては、元本を取り崩してでも分配原資にするといった、財産づくりとはほど遠い投信ファンドを次々と新規設定させている。
やっかいなことに、さわかみファンドが先鞭をつけてようやく本格普及段階に入った毎月積立て型の投信購入が、10年はおろか5年も存続するか分からないファンドにも適用されかねないことだ。 設定当初は長期運用しますと謳っていても、どこかで乗り換え解約でファンド資産が急減して、まともな運用ができなくなることも大いにあり得る。
まともな長期運用ファンドというものがほとんど存在しない日本の投信業界において、投資家顧客の方も投信ファンドとはこんなものだという認識を持ってしまっているのは、一般生活者にとって不幸きわまりないなことである。
初めから投信を毛嫌いしてしまうか、せっかく良い投信を購入してもすこし成績が上がってくると、すぐ売って利益確定に走りたくなる。 日本にあまたあるダメ投信を散々パラ見てきたが故の、日本特有の投信観ともいえよう。
その最たるものが、基準価額が2万円前後になってくると、もうその先の成績上昇は限られているという誤った認識だろう。 せっかく成績の良い投信を保有しているのに、どうして売ってしまうのか。
これはもう、本物の長期保有型投信というものを見たこともないが故の、日本の投資家の悲しい現実としか言いようがない。 売ったところで、ほかにまともな投資商品など、そう簡単には見つからないのにね。
まあ、見ていてもらおう。 さわかみファンドが本物の長期投資による財産づくりというものが、どんなものかを世に示していってやる。