虚を、実にしていく

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投資運用とりわけ資産形成において、利益確定の売りは着実に実行していくのが必須である。

機関投資家などが、いくら運用成績を誇っていたところで、それは絵に描いた餅にすぎない。

株価や債券価格などが上がった下がったといっても、それは「あるようで、ない」のと同じ。

売って現金にして、はじめて運用成績が実物となる。 つまり、虚を実体にできるのだ。

たとえば、日銀が株式ETFを37兆円ほど買い込み、25兆円から26兆円の含み益となっているとのこと。

すごい含み益だが、こんなもの株式市場が大きく下げれば、たちまち霧散してしまう。

せっかくの含み益だ、ここで売って現金化すれば、素晴らしい投資収益を獲得できる。

とはいえ、日本最大の株主となってしまった日銀が、保有している株式ETFを売るなんて絶対に言えない。

ちょっとでも売ると言ったが最期、株式市場は暴落し25兆円とかの含み益は瞬時に消えてなくなる。

それどころか、大きな含み損となってしまいかねない。 まさに、運用成績など虚にすぎないを物語っている。

そもそもからして、中央銀行が株式投資や株式ETFを買い込むなんて、あり得ないこと。

とんでもない博打であり、まして日本最大の株主になってしまうなど、暴挙もいいところ。

大量に買い込んだ株式ETFをどう処理していくか、日銀のみならず国にとっても超のつく難題である。

資産運用に戻ろう。 運用成績なんてものは数字を追いかけているだけで、実体はない。

利益確定の売りを実行して、はじめて運用成績が実体、すなわち資産増加を現実にできる。

もちろん、安定度高く業績を伸ばしていっている企業の株式を、長期保有しているポートフォリオも実体にかなり近い。

なぜなら、それらの株式はいつでも売って現金にでき、積み上げた運用成績の相当部分を実現できるのだから。

その点、この15年間のゼロ金利カネ余りバブルに乗っかってきた株式ポートフォリオは、きわめて危うい。

アマゾンやアップルなどは素晴らしい業績を上げているものの、株価はそのはるか上まで買い上げられている。

実体の素晴らしい業績はいいとして、その実態をはるかに超えて買い上げられた株価は、虚そのものである。

あるようでない虚を追いかけている間は、どれだけ運預成績を誇ったところで、絵に描いた餅にすぎない。

だから、われわれ本格派の長期投資家はずっと前から、売って現金にしておこうと主張してきたわけだ。