6月28日にセゾン投資を退任となった中野氏が、新しく投信会社を立ち上げた。
先ずは自己資金で投信会社を立ち上げ、9月半ばには仲間からも出資を募って、投信業務の認可申請に入る。
全国各地を回るセミナーを重ねて、長期投資を啓蒙してきた彼は、つみたて王子として親しまれてきた。
日本中あちこちに熱いファンがいて、なかのアセットマネジメント社は、皆から投信業務開始を待ち望まれている。
いざ業務開始となれば、ごく短期間で200~300億円ぐらいの顧客資金を集めよう。
そこから先は、運用成績と中野氏によるセミナー活動などによるが、資産残高は着々と伸びていこう。
なによりも強いのは、中野氏はセゾン投信で16年間の実績を積んできたことだ。
その実績を引っ提げて、新しい投信を立ち上げるので、知名度もマスコミなどの関心も高い。
日本株のアクティブ運用ファンドと、グローバル運用ファンドの2本となるようだが、結構な人気を集めよう。
願わくは、中野氏に続く投信立ち上げが続出してくれることだ。
先週も書いたように、投信立ち上げで最大のネックとなるのが、顧客資金口座管理業務というコスト要因だ。
このあたりを、投信のプラットフォーム会社が一括して引き受けてくれると、投信ビジネスが様変わりとなる。
中野氏ならずとも、投信ビジネスに挑戦しようとする人々が続出しよう。
どの挑戦者も運用成績の積み上がりという投信ビジネス本来の勝負に専念できる。
ありがたいことに、既存の投信ビジネスはどこも大した運用成績を出せない体質に染まっている。
なにしろ、既存はどこも親会社である証券や銀行の販売力に頼って、投信ファンドを設定している。
どうしても、その時々の投資家人気に乗った販売しやすい投信商品を並べることになる。
また販売トークとして有効と考えられている、投信ファンドの信託報酬引き下げ競争にも巻き込まれてしまう。
投資家人気の高い投信を新規設定すると、販売時はいいとしても時間の経過とともに成績悪化に苦しむことが多々ある。
また、信託報酬の引き下げを投信の販売トークとされると、投信会社は後々ずっと低収益に苦しむ。
どちらも、既存の投信会社にとっては大きくて重いハンディキャップとなる。
その点、新規の投信会社は運用成績の積み上がりだけに専念できる。
この違いは大きい。 なにしろ時間の経過とともに、運用成績は公認の事実となってくるのだから。
そんな意味でも、なかのアセットマネジメントに続く投信会社の立ち上げに期待したい。