金融バブルの軟着陸あるのか?

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この長期投資家日記は、ずっと金融緩和バブルに警告を発してきた。

昨年あたりから、インフレ台頭と金利上昇という経済合理性の刃が突き刺さってきた。

いよいよバブルの大崩れは時間の問題となってきたが、今日はちょっと視点を変えて考えてみよう。

どのように視点を変えるのか? 金融緩和バブルが崩壊せずに軟着陸することがあるのかどうかだ。

金融緩和バブルで膨れ上がった世界の債務残高は、世界のGDPの3.5倍に達している。

国や金融機関そして企業や家計の借金の合計が、世界のGDPの3年半分にも膨れ上がっているのだ。

当然のことながら、それだけ巨額の借金に頼っている各国の財政をはじめ民間部門にとって、金利上昇は大きな負担となる。

ひとつ間違えると、巨額の借金を抱えた企業などが経営破綻に追い込まれ、それが金融機関を連鎖破綻に追い込むことにも。

先週の相次で発生した米銀の経営破綻がまさにそれだ。 金融システム不安の緊張感が全米に走った。

米FRBが預金を全額保護すると発表したことで、預金の流出や取り付け騒ぎは辛うじて食い止めた。

しかし、多くの企業や金融機関はここまでの金利上昇でも相当に苦しんでいるのが現実である。

ちなみに、米国の金融機関は保有国債で80兆円の含み損を抱えているという。

そんなわけで、金融緩和バブルがはじけると金融マーケットのみならず、世界経済にも大きな混乱をもたらす。

そこで、なんとか軟着陸はできないものかを考えてみようというわけだ。

最大の頭痛の種は、おいそれとは金利を引き下げられないということだ。

なにしろ、世界的なインフレ圧力は根強いものがあって、その抑制に金利引き上げは不可欠である。

となると、世界はインフレで苦しむか、金融緩和バブル崩壊の混乱を覚悟するか、どちらかの選択となる。

さあ、どうなることか? ひとつはっきりしていることは、世界的に金融緩和はもう限界に来ているという現実。

たとえば、日本の新年度予算は114兆円だが、税収見込みが69兆円なので45兆円の財政赤字。

そのうち国債発行で35兆円を調達するという。 既発行国債の借換債を含めると、100兆円を超す国債発行だ。

これまではゼロ金利できたから、国債の新規ならびに借換債の発行に対し金利負担を考慮する必要がなかった。

おそろしく気楽な赤字財政の運営だった。 それもあって、国の借金は日本のGDPの256%にまで膨れ上がった。

ところが、インフレ台頭と金利上昇の刃は、もはや野放図な国債発行を許してくれない。

財務省が発表したところによると、1%の金利上昇で国の利払い費は3.7兆円も増加するという。

それで、黒田日銀総裁は金利を絶対に上げないとして、国債を徹底的に買い支えてきた。

しかし、その横で日本の金融機関は海外債の保有で含み損を抱えだしている。

世界の金利上昇の影響は、静かに日本にも押し寄せているのだ。