NY株式市場も東京株式市場も、すごい反発高を演じている。 ここは、ありがとうといって、売っておこう。
この急速な株価の戻りは、懸念した景気後退がさほどでもなく、インフレも鎮静化に向かえば金利上昇も頭打ちとなる。
そういった観測が広がり、投資家たちは低迷していた株式を一斉に買い出動しているわけだ。
もちろん相場のことだから、このまま勢いがついていくことも、十分にあり得る。
買いの勢いが、さらなる上値買いの材料を次々と見つけ出すといった展開だ。
なにしろ、相場は勢い次第で、どうにでもなるのだから。 勢いの土壌は、たっぷりと耕されてきている。
すなわち、投資家の多くは個人も機関投資家も、リーマンショック以来のカネあまりバブル高に、どっぷりと浸かってきた。
かれこれ12年も、歴史に例のない規模の資金供給を受けて、株価はじめあらゆる金融商品の価格が上昇の一途をたどってきた。
それどころか、米FRBはじめヨーロッパ中央銀行や日銀が胴元になって、株高を下支えしてきたのだ。
株価などの金融資産の価格上昇が景気浮揚には必須、そういった考え方で先進各国は一致してきた。
これだけ株高のお膳立てをしてもらえば、どの投資家も株価は上がって当たり前、下がるはずはないと信じ込んでしまう。
そんなわけで、株高は当然とする考え方が、米国はじめ世界の投資家の間で、しっかり根付いている。
いってみれば、金融緩和ボケだ。 だから、最近のような急激な株価の戻りが演じられてしまうのだ。
とはいえ、こういった戻りは、冒頭に書いたように、ありがとうと言って売っておくに如かずだ。
世界的なインフレ圧力の台頭や、それに伴う金利上昇を甘くみてはならない。
インフレも金利上昇も、各国政府や中央銀行の金融緩和政策に突きつけられた、実体経済からの刃である。
実体経済、そう人々の毎日の生活とそれを支える企業活動の現場から、ノーの刃が突き付けられているのだ。
ゼロ金利はじめ金融緩和の行き過ぎに対し、いよいよ経済合理性が働き始め出したわけだ。
経済合理性が働く? そう、マネーマネーで押し上げてきただけの金融マーケットだ。
人々の生活が豊かになっていくのとは程遠い、つまり本来価値がない故に、その価格は下がって当然である。
そういった、経済合理性からの使者というか刃が、インフレであり金利上昇なのだ。
どの国も、どんな政策も、経済合理性には勝てない。 それが歴史の鉄則である。
だから、この株価上昇は売っておくべしなのだ。