新著、ようやく書き上げた。 後は、上がってくるゲラをチェックするのみ。
今回のは、いよいよのインフレ台頭を含み、時間を追う形で様々な問題点を取り上げてみた。
いってみれば、歴史的な考察といった展開で、いくつかのテーマを書き進めていった。
その方が、いま起こっている大きな流れが、どれだけ不可逆的かということが、よくわかる。
不可逆的? そう、金融緩和バブルの崩壊もインフレも、これからが本番だということが。
そもそも、1971年8月のニクソンショックあたりから、世界の過剰流動性がはじまった。
2度の石油ショック、2000年のコンピュータ誤作動問題に向けて、同時多発テロ、リーマンショック、コロナと世界はマネーの供給を、どんどん増やしてきた。
その間、94年と2000年の2度だけ、先進国中心に過剰流動性は危険だと認識し、マネーの引き締めに手をつけた。
それが、94年からの長期金利の上昇から87年のブラックマンデーへとつながっていった。
また、2000年2月からのITバブル崩壊も、金融引き締め政策を反映してのもの。
ところが、それ以降は過剰流動性は危険だという言葉は、ついぞ聞かれなくなった。
それどころか、グリーンスパンFRB議長が「根拠なき列強」といいながらも、マネーの大暴れは放置された。
その後、リーマンショックやコロナ問題などで、先進国中心に空前の資金供給を繰り返した。
もうブレーキが利かなくなったような、資金のバラマキが当たり前となり、それが今日までむしろ加速してきた。
お金をずっとばら撒き続けてきたわけで、本来ならインフレにつながっても良かった。
ところが、世界的な自由貿易体制の進展とグローバル経済化の流れもあって、低インフレが続いてきた。
その間に、先進国中心に潜在成長率が下がってきたのに対し、金融を緩和し資金を大量に供給しさえすれば経済は成長するとする政策が、どんどん深掘りされていった。
それが、金融緩和バブルとなって世界の株式市場はじめ債券市場、それに金融マーケットをずっと押し上げてきた。
しかし、世界的なインフレ圧力が高まってきて、すべてが逆流の方向へ流れ始めている。
さすがに、もうこれ以上のマネー経済の膨張は無理と、ついに経済合理性が働きだしたのだ。
早い話、インフレも実体経済からの圧力である。 それが金利上昇をもたらし、バブル崩壊へ導くことになる。
まあ、これだけ異常な真似にマネー供給を増やしてきたから、その反動の売りつまり下げは酷いものになる。