今日の日経新聞によると、都銀は米国の国債投資で1.7兆円ほどの含み損を抱えたとのこと。
3月からの2度の利上げで、早くもそれだけの含み損ときた。 今年は、まだ3回以上の利上げが見込まれているのだ。
これから、どんどん米国債投資のマイナスが重くなっていく。 それは、容易に想像できよう。
もっと警戒すべきは、ジャンク債はじめ空前の金融緩和に乗ってバブル高してきた、信用度の低い債券の山である。
リーマンショックと、さらに輪をかけたコロナ問題で、先進各国と中国は金融をこれでもかこれでもかと緩和してきた。
それに乗って、各国の企業などが次々と債券発行に走った。 金利は低いし、いくらでも資金を調達できる。
また、世界中の金融機関はゼロ金利下の運用難で、少しでも利回りを稼ごうと眼の色を変えている。
その結果、ジャンク債はじめ信用度の低い債券発行でも待ってましたと、片っ端から買い入れてきた。
これぞ、カネ余りのバブル投資である。 世界中の金融機関にとっては、利回りさえ稼げばジャンク債でもなんでもいい。
リスク感覚などそっちのけで、ひたすら利回りを求めまくってきたわけだ。
そんなカネ余りのバブルに乗った債券投資など、金利上昇にはひとたまりもない。
先ずは、金利が上がってくるや、より高い利回りを求めた投資行動が前面に出てくる。
この、より高い金利を選好する動きが出てくると、既存の低利回り債券は片っ端から売られる。
それによって、債券市場全体の価格下落と、利回り水準の底上げが進む。
この流れに弱いのは、ジャンク債など信用度の低い債券で、真っ先に売られていって大崩れとなる。
ほとんど同時並行して、ジャンク債など信用度の低い債券を発行してきた企業などの経営が、金利上昇で窮地に追い込まれる。
どこかで、デフォルト(支払い不能)が発生するや、その連鎖を恐れた売りが債券市場にパッと広がる。
それが、債券市場の利回り上昇を誘引して、世界の債券市場全体の大崩れに発展していくことになる。
このふたつの、どちらからでもいいが導火線となって世界の債券市場は大崩れに入っていこう。
それも、もう時間の問題である。 なにしろ、世界中あちこちでコストプッシュ型のインフレが台頭して来ているのだ。
それを抑え込むには、金利を引き上げていくしかない。 となると、債券市場は暴落するに決まっている。
ずっと書いてきているように、われわれ長期投資家は債券市場から遠く離れてきた。
したがって、債券市場が暴落となっても、なんの痛みもない。 また、金利上昇局面にも対応しつつ、次の投資に入っていける。
まさに、本格派のも長期投資家の真骨頂発揮だ。