もともと、5月のゴールデンウィークというのは、世界からみると異例であった。
欧米では復活祭という、みなが楽しみにする春の休みがある。 それでも、土日を挟んで3連休でしかない。
個人のペースで有休を取って4連休とする人もあるが、経済全体を4日も5日も休ますことはない。
それが今年のゴールデンウィークは10連休ときた。 新天皇即位という国家行事があるからというが、世界からは理解に苦しむ。
10日間も日本のマーケットが休場となり、価格形成という日本からの情報発信が途絶えるのだ。
ここ10数年、中国にも追い抜かれまったくいいところのない日本経済だが、それでも世界第3位の巨大さを誇る。
その巨大経済が世界に向けて、10日間のお休みをしますと一方的に宣言するのだ。
日本はそれでいいかもしれないが、世界からみると日本という巨大な穴がポッカリと空いた状態で経済運営されるわけだ。
これは世界経済に大きな歪みをもたらす。 不安定要素ともなり、えらい迷惑となる。
経済活動は、すべからく需要と供給のせめぎ合いである。 価格変動でもって、需要と供給の力関係が調整されていく。
時々刻々と織りなされる需給の調整が価格情報となって広く発信される。 それが次なる需給へとつながっていく。
ところが、10連休となると世界第3位の大国経済が、10日間も需給の調整がなされないまま放置されるのだ。
その間の価格情報が途絶える。 日本が休んでいる間も刻々と動いている世界の経済活動からみると、なんとも不気味な空白となる。
2001年9月11日の同時多発テロを思い出してみよう。 世界貿易センタービルをはじめ7棟の巨大ビルが崩れ落ち、NY市のみならず世界が大混乱に陥った。
それでも、NY株式市場は一刻も早い再開を目指して、2日間のみの閉鎖でもって乗り切った。
株式市場での価格形成を、それだけ重要視しているからこその、3日目の取引所再開であった。
人々の生活を支える企業活動は一時も休めない。 そのペースメーカーが、マーケットでの価格変動である。
NY株式市場の一刻も早い再開を目指したのは、もう当然のことである。 経済の常識といって良い。
ひるがえって日本は、どうにもズレている。 この10連休もそうだが、働き方改革もそうだ。
これだけ経済が低迷し、デフレにも喘いでいるのに、国を挙げての働くな働くなだ。
なんともおかしな方向感覚である。 日本全体がユデガエル化の道をひた走っているとしか考えられない。