経済は生きものであり、そこに投資の役割もある

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 経済は科学であって、理論や体系化で御することができるとする学者は多い。 一定の前提をおいて、難しい数式や統計学を駆使すれば、経済を科学的に語れるというわけだ。

 科学的に語れるということは、それを政策に反映させることで経済活動を高めたり、デフレを克服できるはずと彼らは主張する。

 そういった考えでもって、大量の資金を供給したり政策金利をゼロにしたりしてきた。 それでも効果が出ないから、さらにマイナス金利へ突入し、今度はヘリコプターマネーが取りざたされる展開となってきた。

 そろそろ、いい加減にしろよではなかろうか。 学者の頭では、また彼らのいう理論上では、経済活動は活発化するはずなんだろう。 ところが、一向に成果は上がらない。

 なぜ、さっぱり成果が出ないのか? 経済は生きものであることを無視して、ただ「資金をばら撒けばよし」「金利をゼロとかマイナスにすればよし」と、頭でやっているからだ。

 経済という生き物を相手にするには、人間の欲得計算をくすぐったり、その裏返しの損失恐怖心に訴えてやるのが一番。 経済活動を活発化させるには、儲かりそうだという雰囲気を高めつつも、その一方でモタモタしていると置いてきぼりを食らうぞと思わしめることだ。

 それなのに、日本の経済政策はデフレ克服とか成長率を高めようとか、やみくもに経済全体を良くしようとするばかり。 ところが、経済全体でみるとなかなか景気回復のスピードが上がらない。 それでもって、日本経済はダメだという心理だけが高じる悪循環となっている。

 もっと現場感覚を大事にしよう。 日本経済を見渡すに、あちこちで元気にあふれるビジネス現場を目撃できる。 そこそこ元気だというところも含めて、けっこう経済は動いている。

 失業率も3%ちょっとで、日本は先進国でも抜きんでて完全雇用に近い状態にある。 働こうと思えば、仕事はいくらでもある。 ということは、一体全体どこの景気対策が求められているのだろうか。

 地方経済が疲弊している? 地方といっても、そこそこ経済はまわっているところがほとんどである。 まったくダメということではない。

 こう考えてくると、ダメダメだと言われ続けている日本経済だが、そうダメでもないんじゃないのと思えてくる。 元気なところはいくらでも見つかるし、一体なにが問題なのと言いたくもなる。

 ここに投資家、とりわけ長期投資家の発想と行動が集約される。 元気な分野を見つけて、どんどん投資をしていくことで、その分野がどんどん良くなっていく。

 それを見て、まわりも負けてはならじと動き出す。 この広がりが経済活動の活性化であり、景気回復でもあるのだ。 そう、経済という生きものは動けるところから動かしていくこと。

 その先兵が、事業家と投資家である。 歴史をみるがいい、いくらでも証明されているではないか。 いっぽう、経済学者が新しい時代を切り開いた歴史はない。

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