国際金融協会が発表している世界の債務残高は、今年の3月末で324兆ドルとなった。
それが、一体どのくらい巨額かといっても、ちょっとイメージできない。
世界のGDP(国内総生産)に対して、325%ということだ。 つまり、世界経済の3.25倍もの借金なのだ。
とんでもない借金の額である。 この数字は、2009年には、215%だった。
ということは、リーマンショック後の世界的な金融緩和に乗って、世界経済1個分の借金が積み上がったことになる。
つまり、先進国中心にゼロ金利が横行していた間に、とんでもなく巨額の借金が膨れ上がったわけだ。
その中には、国の借金もあるし、個人や企業そして金融機関のものもある。
その金利だが、3年前にゼロ金利は終わった。 いまや米国の政策金利でいうと、4.25%~4.5%だ。
その金利を、トランプ大統領は下げろ下げろといっているが、それも米国内のインフレ懸念との綱引きとなる。
まあ、9月に政策金利を下げるとしても、せいぜい0.25%か0.5%ぐらいの引き下げだろう。
ということは、金利引き下げといったところで、米国において4%前後の金利水準は残る。
そうなると、ゼロ金利時代に積み上がった米国の借金だが、その借り換え時には大きな負担となるはず。
なのに、そのあたりの問題が、さっぱり浮上してきていない。 それは、一体なぜなんだろう?
むしろ、米国株が高値追いしているように、金融緩和の楽観が横行している。
日本でみても、長期金利がじわじわと上がってきており、最近それに対する警戒感が報道されてはいる。
それでも、先進国でも最悪を独走している日本の財政赤字(対GDP比)ひとつとっても、落ち着いたものである。
巨額の借金にも、インフレや金利上昇にも、世界は鈍感になってしまったのか?
このまま、モラルハザードに対する警戒意識がどこかへ消え去って、現状が続くと楽観に浸っていていいのだろうか?
いつの経済でも、行き過ぎはあっても、どこかで正常へ戻ろうとするエネルギーが働く。
それが、どんな形で噴き上がるか、楽しみに待つことにしよう。