株高期待だけの新高値追い相場?

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日経平均株価は昨年7月につけた最高値を一時的に上回るほどに急伸している。

投資家も市場関係者も一層の株高歓迎で、湧き上がっているようだ。

ところで、その買いだが一体どんな好材料を囃して買っているのだろうか?

米国が日本に課す関税率を当初の25%から15%に下げてくれたことへの安堵感か?

関税引き上げで案じていたほどには企業業績は落ち込まないといった楽観からか?

米国はじめ世界のインフレ動向も落ち着いてきたということで、米FRBなどの金利引き下げ期待からか?

いつの株高でも買い材料は後からついてくるといわれるように、株高が先行しているからか?

まあ、どんな買い理由であれ、すさまじいまでの買いが集まって来ているのは事実。

この勢いだが、そう長くは続かないだろう。 なにしろ、上に挙げた買い材料そのものが暗転するのも近いからだ。

暗転? 戦後世界経済の高成長と低インフレを支えてきた自由貿易体制が、トランプ関税によってとん挫しつつある。

これから数字データとして表面化してくるのは、世界経済の成長鈍化とインフレ懸念の台頭である。

それらは、間違いなく企業の業績動向を下押しさせる圧力となる。

もちろん、AIとかのハイテク分野では高成長企業が注目されようが、企業全般ではマイナス要因である。

だが、世界の株価全般からみると、もうそれほど高値は期待できそうにない。

別の角度からみると、この30年余の金融資本主義の跋扈の裏で、世界的な低所得化や貧困化が進んだ。

世界最大の経済を誇る米国でさえ、伝統的な中産階級の没落や貧困層の増加は大きな社会問題なっている。

多数国民の低所得化や貧困に苦しむ人々の増加は、国際社会をどんどん不安定化させる。

それが、世界各国で権威主義政治の台頭や地政学リスクの高まりを招くことに。

トランプ政治による一国第一主義は、大恐慌時のブロック経済化と第二次世界大戦へつながっていった当時と似ている。

こう考えてくると、われわれ本格派の長期投資家ならずとも、あらゆる株高は売って現金にシフトするチャンスにしたいものだ。

ともあれ、昨今の株高要因の最大なるものが、史上空前の金あまりバブル株高という現象である。

カネ余り現象ほど不安定なるものはない。 なにかの理由で金融マーケットの一角が崩れるや、即座に大暴落となる。

売りが売りを呼ぶ展開となるや、多くの投資家や市場関係者たちは全面売りの地獄をのたうち回ることに。

そういった修羅場の中で、われわれ本格派の長期投資家は次なる買いに入っていこう。