経済はお金がまわれば、いくらでも元気になる。 お金がないと経済成長もおぼつかない。 明治の頃も、戦後復興時も、日本はお金がなくて苦労に苦労を重ねた。 いま日本には、お金が有り余っているところと、まったく無いところとが奇妙な共存をしている。 お金がまわっているようで、まわっていない。 それで、日本経済のジリ貧が続いているわけだ。
お金が有り余っているところの代表が、個人の預貯金マネーである。 なにしろ、国内総生産の1.7倍もの資金が年0.02%ほどにしか富を生まない預貯金に寝かせたままにしているのだ。 一方、お金が無いのは国で、1000兆円もの借金を抱えている。
ここで問題なのは、預貯金はじめ個人金融資産の大半が、金融機関を通して国債購入にまわっていることだ。 経済はお金がまわればいいといったが、お金のまわり方が悪すぎる。 バブルがはじけて21年経ったが、その間に国は1992年から年平均して19兆6000億円の景気浮揚予算を投入してきた。
ところが、まったく効果は出ていない。 単純計算しても、年4%の成長をしてもおかしくないだけの資金投入なのに。 年4%の成長をしていてくれたら、今頃日本経済はバブル時の2倍の1000兆円前後になっていたはず。 それなのに、成長どころか国の借金が1000兆円に積み上がっただけである。 まったくの死に金を投じてきたことになる。
死に金を投じてきたのは国だけではない。 個人や家計もそうだ。 預貯金にボケーッとお金を置いておき、その先でお金がどう働いてくれているのか、まったくの無関心。 そのご褒美が、年0.02%と雀の涙にもならない利子収入でしかないし、ジリ貧とデフレが続いた経済で給料やボーナスの減少でしかなかった。 誰にとっても嬉しくはない縮小均衡である。
いけないのは、個人や家計が自分のお金をボケーッと預貯金に置いたままという点だけではない。 そういった個人や家計に、もっともっと有用で有益なお金のまわし方があるよという、直接金融では当たり前のいろいろな工夫を乗っけた提案が無さすぎる。
日本独特の間接金融一本やりでやって来た経済運営が限界に達している。 その証明が、上に書いた家計の有り余ったお金と国の借金の奇妙な共存である。 一刻も早く、お金の流れを広く太くする直接金融を日本に定着させなければならないのに、そのプレーヤーが、まったく育っていない。
及ばずながら、われわれ直販投信が直接金融の流れを広めようと頑張っているが、力不足を認めざるを得ない。 現状は、もどかしさと悔しさばかりだが、とにかく進むしかない。 日本経済を元気にさせるためにも、子どもや孫たちに明るく夢のあふれる社会を残してやるためにも。
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