意外と思うかもしれないが、広い意味での文化への支出が、日本経済を大きく活性化させる起爆剤となる。
いつも書いているように、生活に必要なモノへの消費は買い替え需要が主体となった日本では、もうそう伸びない。
つまり、食品やトイレタリーなど日々の生活必需品以外の個人消費は、なかなか高まらないのが成熟経済というものだ。
そこで、どうしても必要となってくるのが、モノを越えて生活の質を高める方向での消費、そちらでお金をどんどんつかうことである。
生活の質を高める方向での消費となると、趣味・芸術・教養・娯楽・スポーツ・NPO・ボランティア活動などが挙げられる。
そういった方向で、皆が少しずつでもいいから意識して、お金をつかうようになれば、日本経済は様変わりとなる。
たとえば、預貯金に寝かせたままとなっている個人マネー955兆円の2%でも動かしてくれたら、それだけで瞬時に3.6%の成長となる。
3.6%成長すれば、まわり回って国民全体の所得増加となり、つかったお金が減るどころか、すこし増えて戻ってくる。
それが、経済というものである。 とにかく、お金を抱え込んではいけない。 なんらかの方向で、お金はつかうべしだ。
ともあれ、生活の質を高めるため、より豊かな気持ちで生きていく方向で、つかわれたお金はすごい働きをしてくれる。
先ずは、上に書いた広い意味での文化関連で雇用が発生し、19兆円の産業が新たに立ち上がってくるのだ。
よく考えればわかるが、広い意味での文化関連産業は工場での大量生産とは違い、雇用吸収力がやたら大きい。
ということは、デジタル社会やAI化とかで一般労働者の仕事が奪われても、そう心配はない。
文化関連産業が伸びると、仕事はいくらでもあるし、給料だってそこそこ期待できる。
ちなみに、米国では主として寄付で活動しているNPOが、全雇用の9%を創出しているといわれる。
そして、すごいレベルの社会活動をしていて、ピンといわれるNPOでは年収2000万円なんてザラである。
このあたり、日本人が脱皮できれば、将来はびっくりするほど明るくなるのだが。