大きな構想(前編)

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 昨夜はさわかみ投信の社内勉強会(サロン)で、さわかみファンドが設定のそもそもから描いていた大きなデッサンをじっくり説明した。 本格的な長期投資運用を追及していくことで、どれだけ大きなことをやってのけてしまえるのかを、一つ一つ具体的に話した。

 第1に、10年20年のどっしりと腰をすえた長期投資を、誰がやらせてくれるのか? 年金にしても他の機関投資家にしても、この30年間の運用短視野化の流れもあるし、担当者にそんな長期の投資運用を任せる腹はない。 一方、ずっと預貯金に寝かせてきた個人マネーは大半が10年定期である。 その資金を長期の本格的な投資運用へご案内できればいいだろう。

 幸か不幸か、日本には経済規模の1.6倍もの個人マネーが預貯金に眠っている。 その一部が本格的な長期投資に向かってくれるだけで、年金よりはるかに巨額の資金を背に長期投資の先の良い世の中づくりに邁進できる。 われわれが願うのも長期投資で経済の活性化と良い世の中づくりである。 それが自然体で出来てしまう。 これが、第2のポイント。

 第3に、そうは言うものの人生このかた投資なんてやったことのない預貯金者に、長期投資やりませんかと訴えたところで、なかなかはいそうですかと動いてもらえない。 だったら、営業など顧客資産集めは一切せず、ひたすら長期投資を訴えつつ運用実績を積み上げていくことだ。 もともと運用ビジネスは成績が積みあがることによって、小さくはじまって大きく育ってしまうものなんだから。

 年0.02%の預貯金利子では、10万円を20万円にするのに3600年もかかってしまう。 年金もどうなるか当てにできそうにない。 一般生活者の間で、安心し信頼して財産づくりできる投資商品を望む潜在的なニーズは膨大なものがあるはず。 何よりも、安心と信頼を寄せられるファンドにしていこう。 それには、本格的な長期投資を断固として貫き、なにがあってもぶれない方向性とその実績を世に示すことだ。

 ありがたいことに、第4として営業で運用資金を集めてはいない。 本格的な長期投資の提案に集まってきていただいた資金だから、なんの躊躇もなく暴落相場を買いにいける。 投資なんて、安く買って高く売るだけのこと。 暴落相場を買いにいけば安く買えるに決まっているし、経済情勢や投資環境が良くなってくるのを待って売り上がっていくことで、なんの無理もなく運用成績を積み上げていける。

 そこで絶対的に問われるのが、企業の選別である。 これが、第5のポイントだが、長期投資で良い世の中づくりを目指そうと訴えている以上は、投資対象企業の経営理念や方向性が一般生活者として応援に値するかどうか徹底的にチェックしなけらばならない。 強欲まる出しの経営で、ただ利益利益そして株主に良ければといった企業は、その辺の銭ゲバ投資家に任せておこう。

 長期投資家にとっては、あくまでも子どもや孫たちに良い社会を残していくべく、目先の利益追求で後は野となれ山となれといった企業に投資することなどなどあり得ない。 あくまでも、社会正義や環境そして人間としてのやさしさを追及する投資に徹する。

 そんな青臭いことをいっていては投資成績につながらない? 慌てることはない。 われわれは暴落相場を平気な顔をして買いにいけるが、銭ゲバ投資家にはそんな芸当できないだろう。 一般生活者としてなにが何でも応援したいと思えるから、暴落相場を買いに行って、誰もが真似できない安値の買い仕込みができるのだ。 長い目ではどちらの成績が上回るか自明だろう。

 残りは、来週に。 長期投資家の皆さん、この安値は逃げることなく買っておきましょう。

 

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