作家で、中国古典の研究では第1人者の守屋淳氏が「明治実業家の知識・見識・胆識」という新著を刊行された。
守屋氏は渋沢栄一の研究でも著名で、これまで数々の渋沢栄一関連本をものにされてきた。
新著では、渋沢栄一からはじまって9名の明治という時代を方向づけた実業家を、守屋氏ならではの切り口で書き込んでいる。
すなわち、岩崎弥太郎、大倉喜八郎、安田善次郎、森村市左エ門、小栗上野介、三野村利左衛門、広瀬宰平、伊庭貞剛ときた。
錚々たる偉人が、これでもかこれでもかと登場してくる。 皆さんも、「この人、もっと知りたい」と興味津々ではなかろうか。
自分も守屋氏の新著を手にして、いま安田善次郎まで読み込んできたところ。
やたら面白いので、これは長期投資家日記で紹介しなければと思い至った次第。
本書の帯に、150年前の転換期を「希望」に変えた、渋沢、岩崎、大倉ほか先人たちの、乱世を生き抜くメッセージ。
われわれは、「二周目の明治」を生きている。 解き方のわからない問いに答えを出した男たち、ときた。
相当に刺激的な表現が並んでいる。 この帯だけ見ても、読んでみたくなるのではなかろうか。
たしかに、昨今の日本は幕末の頃のように、「維新」が必要な状況下にある。
このままダラダラと時を過ごせば、国家的な危機にさらされる恐れ十分。
ただ明治の頃のように、欧米列強の帝国主義に降って植民地化される危険とは、ちょっと違う。
国民全般に、ぬるま湯に浸かったままの「ゆでガエル」状態に陥っていて、国力はどんどん落ちていっている。
高齢者層を中心に、自分の生きている間さえなんとかなればの無責任がはびこっている。
天下国家の気概や、後の世代にどんな社会を残していくのかといった社会意識は、どんどん薄れていっている。
国の財政がこんなにも悪化しているのに、さらに予算のバラマキや消費税率の引き下げをしようなんて、まったく理解できない。
ポピュリスト政治家ばかりで、骨のある政治家など、さっぱりみられない。
企業経営者たちも、億単位の報酬が当たり前になっているが、自社の将来のための投資はどこまでやっているのか?
ともあれ、日本という国の将来に対して立ちふさがっている問題は山ほどある。
一番の根っこは、国民一人ひとりの自助自立の意識と行動である。 明治の頃のような偉人が、どんどん出てくれればいい。
それがなくとも、われわれは自助自立の精神でもって、堂々と生き抜いていくだけのこと。
