相場の先行きは、神のみぞ知るの世界。 下手に読もうとしてもムダだよ、それが定番となっている。
なにしろ、相場なんてものはマーケット参加者の動向によって、上へでも下へでも変転きわまりない。
そのマーケット参加者だが、それぞれ自分の利益追求を目的に、それも好き勝手に群がり集まってくる。
儲かると思えば、どんどん買い参加してくる。 それでいて、損したくないという気持ちは片時も忘れない。
やばい、損しそうだと感じるや、即座に売りに転じる。 その変わり身の早さはマーケット特有のものである。
そう、相場動向なんて投資家たちの欲得計算で、上がったり下がったり定まることなく方向転換するもの。
強い買い意欲が続いている間は、もっと儲けようとさらなる買いが流入するから、上昇ピッチはどんどん上がる。
上昇ピッチが上がるにつれ、高所恐怖症みたいな不安感も高まってくるが、儲けたい気持ちも棄てられない。
こういった投資家特有の心理的な葛藤も、上昇相場に織り込まれていく。
そんな中、なにか悪いニュースが飛び込んだりすると、「思っていた通りだ」と、皆が即座に売り反応をする。
今度は売り逃げの集中で、マーケットは一気に下げていく。 下げが投資家の恐怖心理をさらに煽る循環に陥っていく。
大やられした投資家は消えていくが、生き残った投資家たちは懲りることなく次の儲けチャンスを狙う。
そういったしたたかさがマーケットで、どんな展開となっていくかの予測なんて、そもそも不可能に近い。
だから、神のみぞ知るの世界なのだ。 とはいえ、長い目でみると大きな方向性は読めてくる。
世界経済のグローバル化の進展による、インフレなき成長はとん挫し、世界中で根の深いインフレが台頭してきている。
それに伴って、世界あちこちで人々の低所得化と貧困化が進んでいる中、金利は上昇傾向に入っている。
どれもこれも、世界的な過剰流動性と年金買いに支えられた、40年越しのマーケット上昇にとってはマイナス要因となる。
そのマイナス要因を巨大な力で押し潰しているのが、世界の年金はじめ機関投資家運用である。
彼らは、音楽が鳴っている間は踊りを止めれらないで、自分の判断で売りを出そうとはしない。
つまり、歴史的なカネ余りバブル高のマーケットを強力に下支えし続けているわけだ。
そういった機関投資家たちだが、世界経済の成長鈍化とインフレ台頭や金利上昇には、いずれ屈する。
彼らが踊りを止めた瞬間、これまで買って買いまくってきた世界のマーケットは大暴落となる。
その時、世間一般では、あれは巨大なバブルだった、経済合理性が働いたと論じられるのだろう。
われわれ本格派の長期投資家からすると、読み通りの展開で、次の行動を模索するだけだが。