よく老後資産はいかに安全に保っていくかで、すぐ出てくるのが「減らさないよう確実に」という表現だ。
たしかに、もう現役を退いており、収入源は年金など限定的となってきている。
そこで、「いかに資産を減らさないよう、安全確実にを守るか」が、老後設計の定番となっている。
資産を減らさないよう安全確実にと言い出した瞬間、「もう投資は止めて、預貯金にしておこう」となってしまう。
残念ながら、これは大きな考え違いである。 歴史が証明するように、年金生活者はインフレに遭遇すると、ひとたまりもない。
預貯金や年金は、インフレの進行にまったくの無防備で、生活はあっという間に苦しくなる。
最近の例では、老後2000万円問題だ。 あれも、年金とは別に2000万円ぐらいは準備しておこうといっている。
そうなんだが、2000万円という数字も昨今の低金利を前提にしており、やはりインフレ到来を考慮すると万全ではない。
では、どうしておけばいいのか? もう収入は限られているし、安全確実な資産の置き場所はどこなのか?
考え方を根本から変えよう。 ゆったりと、長期の株式投資を続けていくことだ。
それが一番安全で確実だということが、過去130年以上の実績で証明されている。
米国株市場でみると、長期の株式投資の平均リターンは年10%ぐらいとなっている。
その間のインフレ率は年率にすると3%ちょっとだったから、インフレを差し引いても、ネットで6%強の財産づくりとなっているのだ。
したがって、S&P500種などのインデックス・ファンドを購入して、ずっと保有しておけばいい。
それだけで自動的に、ゆったりとした長期の株式投資ができてしまい、老後設計としてはもう万全である。
ところが、投資家を含め多くの人々は、投資の意識が強すぎて、どうしても相場動向に過剰に反応してしまう。
上昇相場が続くと、どんどん強気になってさらに買い増ししたくなる。
大きな暴落相場に遭遇すると、もう相当に下げているのに、そこから大慌てで売ってしまう。
この繰り返しをやっていては、とうてい長期の株式投資などではなくなっていく。
それが故に、年10%ぐらいの株式投資リターンを手にする人は、ほとんどいないのも当然のこと。
インデックスファンドよりも、さらに良いのは、アクティブ運用の長期保有型投信である。
その良さは、来る金融バブル崩壊で決定的な成績差となって、はっきりと証明されよう。