現状の流れをベースにして、ここから先の展開を読んで行動するのを、相場追いかけ型という。
その人たちからすると、現在の金融マーケットをみるにバブルには、ほど遠い状況だと判断したくなる。
なぜなら、米FRB はじめ先進国の中央銀行は挙って2023年までは長期金利を上げさせないといっている。
だから、なんの心配もなく買える。 ということは、まだバブルには至っていないと判断して平気なのだ。
あるいは、世界中がこれだけ大量に資金を供給してきて、行き場のないマネーは金融マーケットに集中せざるを得ない。
そう考えると、まだいくらだって新規の買い資金は流入してくるから、上値はもっと上だと読んだりする。
一方、自分の投資スタンスを持っている人間からすると、いつもバランス感覚を大事にする。
すなわち、株価でもなんでも行き過ぎに対しては、ごく自然とリスク意識が高じてくる。
高くなったものはどこかで下がる、下がりすぎたものにはどこかで上がりはじめるものだ。
そういった自然の摂理を決して軽視することなく、物事の先行きを判断しようとする。
たとえば、現時点ならば買って買いまくっている人達で、金融マーケットはあふれかえっている。
その人たちは、いつかどこかで売って利益を確定しようとする。 つまり、売りの予備軍が将来の雨雲の様に、どんどん膨れ上がって天空を覆っているわけだ。
すると、なにかの加減で彼らの一部にでも売りが出るや、皆がみな売りに殺到する様相は容易に想像できる。
もうそうなったら、津波のような総売りに押し流されて、まだ買いたい人もひっくるめて売り地獄に叩き落される。
なにしろ、先進国の中央銀行が胴元になった金融バブルだ、世界中で買いポジションは天文学的に膨れ上がっている。
それらが一斉の売りに転じたら、もう誰にも止められない。 場合によっては、中央銀行もろとも売り津波に流されよう。
そういった地獄絵がイメージできるなら、一刻も早くその修羅場から遠く離れておこうとするのが、バランス感覚というものである。
よしんば、1年とか2年も早すぎた離脱となっても構わない。 売り地獄の修羅場に叩き落されることを考えたら、どれだけ安全なことか。
こういった冷静というか、ごく自然体のバランス感覚が、われわれ本格的な長期投資家にとっては命綱となる。