ここへきて、著名投資家のウオーレン・バフェット氏が巨額の現金を抱えているとか。
最大投資先のアップルのポジションを減らしているが、次の買い銘柄がなかなか見つからないとか。
マスコミはどうも、バフェット氏が投資先を見つけあぐねているといった方向でコメントしたがっている。
その背景には、メディア特有の「いま起こっている出来事を、とりわけ大きく報道する」体質がある。
また、多くの投資家や証券マン達が、バフェット氏の次の一手に目を凝らしているから、それに応じようもある。
われわれ本格派の長期投資家からすると、「なに言っているのよ」と思わず笑ってしまう。
どうみても、人気銘柄群の株価水準というか、特定の業種の株価は全体的に高く買われ過ぎている。
ずいぶん買われてきているなと思ったら、どんどん売り上がっていって買いポジションを下げておく。
そんなのは運用の常識である。 相場なんてどう転がるか知れないから、適度に利益確定しておくのも大事。
また、狙っている企業なりの株価が高水準なら、じっと下げを待つ。 慌てて高値を買うことはない。
上手い具合に、米国では短期金利が5.25%~5.5%の水準にある。 現金にしておいても、十分に金利を稼げる。
運用者としては、ここで現金比率を高めておいても、なんら困ることはない。
そのあたり、マスコミはなかなか理解できないようだし、報道材料にも欠ける。
さらには、多くの投資家は証券マン達からすれば、のべつ幕なしで買っていくのが株式投資と思い込んでいる。
そんなわけで、バフェット氏に対しても投資対象がなくて困っているだろうなといった捉え方をしてしまう。
百戦錬磨のバフェット氏からすれば、そういった雀のさえずりに付き合ってはいられないの一言だろう。
やっかいなことに、世界の運用マネーの大半を握っている機関投資家たちが、自分の投資判断を棄てている。
ひたすらマーケットについていく、それをもって彼らは運用としている。
それが故に、世界の株式市場において機関投資家によるマーケット追随型の株価形成が、どうしても主流となる。
そして、相場が行き着くところまで行って暴落に転じたら、みんなで一緒に崩れ落ちていく。
なんとも情けない話だが、これが世界の運用の現実である。 機関投資家としても受託者責任など、あったものではない。
その時、バフェット氏はご機嫌で買いまくっているだろう。 もちろん、われわれも同じく買いまくりだ。