運用会社の責任

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銀行は銀行、証券は証券なりにビジネス上ならびに社会、そして顧客への責任がある。

運用会社においては、とりわけ投資家顧客に対する受託者責任というものが重視される。

その受託者責任だが、大々的に営業をかけてどんな資金でもOKと受け入れている運用会社が、大手金融機関に多い。

それも、運用目的や与えらえる運用期間に応じて、きめ細かに多種多様な運用商品を提案するのではない。

運用がブームとなっているとか、世界をカバーするインデクス運用なら万能とか、営業色をまる出しにしている。

そんなダボハゼ的な資金集めを大々的に展開して、一体どんな運用をするつもりか。

運用の時代とかの宣伝に乗せられて、大事な虎の子資金を預ける方も預ける方だ。

しかし、なによりも運用会社全般の受託者責任意識の欠如には、激しい憤りさえ覚える。

その背景には、世界の機関投資家運用が、毎年の成績を云々する資金運用に堕してしまっている現実がある。

世界の運用マネーの大半を握っている機関投資家たちが、毎年の成績を追いかける資金運用を専らとしているのだ。

となると、運用会社も毎年の成績をそこそこ出していれば、受託者責任を果たしていると言い張れる。

冗談ではない。 年金なら、20年はおろか30年40年先の年金給付のために、長期的な運用資産の最大化を図る。

それが、年金資金を受託している運用会社の受託者責任というものである。

ところが現実は、ひたすらマーケットの価格変動を追いかけては、毎年の成績を出そうと汲々としているのだ。

一体どんな長期投資の哲学や理念をもって、30年40年先の給付に応じる運用をしているのか。

その点、われわれ本格派の長期投資家は、運用資金の集め方に細心の注意を払う。

明確な長期投資運用の方向性を打ち出して、それを良しとする投資家顧客のみに集まってもらう。

集まってもらう? そう、営業とか宣伝でもって顧客資金を集めようとはしない。

長期の投資運用で積み上がってきた実績をみてもらって、投資家顧客の方から資金を預けてくれるのだ。

当然のことながら、長期の資産形成を期待して、長いお付き合いを決め込んでのこと。

その分、われわれ本格派の長期投資家は運用能力の向上に、もてるエネルギーを集中できる。

投資家顧客の方も、その時々の流行に乗せられた投資商品を購入して後で悔やむよりも、はるかに安心できる。

この、投資家と運用会社のWin-Winの関係こそが、まともな運用ビジネスである。