最近、ほったらかし投資という表現が流行っているとのこと。
われわれ本格派の長期投資家からすると、まさにその通りということになる。
巷でいわれているのは、たとえば米国のS&P500種インデックスファンドを買って、ほったらかしにするとか。
米国の平均株価を過去100年とか150年とかの時間軸で追うと、年にならすと10%ぐらいで伸びている。
したがって、米国株投資の代表格としてS&P種インデックスファンドを買って、ずっと持っていればいいとなる。
このあたりが、ほったらかし投資を勧める最大の説得材料となる。
ただしだ、いくつか留意点がある。 それを、以下に並べてみよう。
第1は、年10%の株価伸び率というが、過去には10数年にわたって株価が低迷したことが、幾度もある。
その低迷期を、一体どれほど多くの投資家が耐えられたか、それはまったくの別問題である。
英国のエコノミスト誌などの調査によると、10数年前の統計だが投資家は年3%の成績も手にできていないとか。
せっかく株式市場は年平均10%ぐらいの伸びをしているのに、年3%ぐらいの成績?
それは、多くの投資家が上昇相場ではやたらと強気になって買い増しする。
ところが、下げ相場になると怖くなったり損失回避で売りたくなるのが投資家心理。
高値を買い増しし、安値で売り逃げてしまうから、年3%ぐらいの成績になってしまうらしい。
第2に、ほったらかしの積み立て投資を勧めている人たちが、やはりどれだけ我慢できるかだ。
下降相場や長期の低迷相場は、積み立て投資にとって最大の稼ぎ場である。
同じ金額を積み立て投資するのなら、株価が安い時ほど多くの購入口数を手にできる。
なのに、長期の低迷相場に耐えられず積み立て投資を止めてしまったら、なんとももったいない。
投資の世界では、いつも「隣の芝生は青い」現象に振り回される。
他の投資案件の方が良さそうだと、せっかくの積み立て投資を止めてしまったら、元も子もない。
第3に、ここから10年ほど、インデックスファンドは冬の時代を迎えることだ。
過剰流動性と年金資金の流入による、40年越の右肩上がり株価に乗ってインデックスファンドが大流行してきた。
しかし、インフレ到来による金利上昇で、ゼロ金利に甘えてきた企業の多くが脱落していく。
すべての銘柄を組み入れ、つまり玉石混淆の投資をしているインデックスファンドにとっては、厳しい現実となる。
石ころのような企業群の株価下落に足を引っ張られて、成績は長期低迷を免れない。
その点、われわれ本格派の長期投資家によるアクティブ運用は、玉と思われる企業にしか投資しない。
どうにもならないほど大きな成績差となっていく。 それでも、ほったらかし投資ができるのだろうか?