先週大きく下げたNY市場だが、昨日はさらに1000ドル以上も下げた後、プラスで終わった。
普通だと、これで当面の売りは出し切った。 ここからは反発の戻りに入るとなる。
ところが、今回は壮大な金融バブルがいよいよ崩壊の途に就いたとみるべきだろう。
もちろん、相場のことは神のみぞ知るの世界。 したがって、どう転がるかの下手な推測など、休みに如かずだ。
ただ、さらなる下げを誘う材料が目白押しとなっている。 どれもこれも、コストプッシュ・インフレの要因となる。
コストプッシュ・インフレの材料はともあれ、インフレそのものが利上げと金融引き締めを招く。
金融引き締めつまり、株式市場はじめ金融マーケット全般に対しては、マイナス要因となる。
コストプッシュ・インフレ? インフレには2種類あって、デマンドプル型とコストプッシュ型だ。
デマンドプル型は、景気が過熱気味となって需要の急拡大に供給が間に合わなくなり、諸物価が高騰するケースだ。
こちらは、国民全般の所得も伸びていて、社会は明るい。 そして供給体制の高まりとともに、インフレは収まっていく。
一方、コストプッシュ型のインフレは、供給体制にネックつまり目詰まりが生じて物価が高騰するケースだ。
たとえば、昨年からのコロナ感染抑止で、世界の供給体制が分断されてしまった。 そのコスト増。
その典型が、各国の港湾での荷揚げ渋滞が挙げられる。 港の内外で荷揚げ待ちの船があふれ返っている。
それが故に、貨物船の手当てやコンテナの不足が深刻となり、海上輸送コストが急騰するに至っている。
また、人の移動制限で新興国や途上国からの労働力が帰国してしまって、戻って来ないことでの人手不足によるコスト増。
あるいは、脱炭素の動きの高まりとともに化石燃料分野での投資制限や新規投資ストップで、LNGなどの価格急騰もある。
さらには、地政学的リスクが高まっており、こちらもいつ供給のボトルネックとなるか知れたものではない。
コストプッシュ型インフレは、結構やっかいである。 単なるボトルネックに、政治的な圧力や商売上の思惑が絡んでくる。
よく社会問題となる、売り惜しみによって価格を引き上げるケース。これは陰湿である。
それでも、消費者など需要サイドは理不尽な高値にも、涙を呑んで応じるしかない。
まあ、こんな具合で、世界ではコストプッシュ型インフレが、ひたひたと押し寄せてきている。
ここから先、金融引き締めすなわち利上げは避けようがなくなろう。
それは、金融緩和バブルの終焉に直結していく。