現在進行形のカネあまりバブルだが、株価など金融マーケットを賑わしているものの、人々の生活にどれだけプラスとなっているのか。
高所得層など、一部の人々にとっては「この世の春を謳歌」かもしれないが、経済全体でみると、果たしてどんなものか疑わしい。
それ以上に問題なのは、いつのバブルもどこかではじける。 そのしわ寄せは、経済全体や社会にも及んでくることだ。
バブルが崩壊すると、株価や債券価格はじめ多くの金融商品の価格が暴落する。
その寸前までバブルに踊っていた人達の間で膨らんでいた資産勘定の大きな部分が、蒸発したかのように消え去る。
巨額の投資損失や評価損の発生である。 一方、負債勘定はまるまる残る。
個人投資家の場合は、大損したでお終いだ。 もっとも、大きな反省や悔やみは残るが。
他方、企業や金融機関の間では、バブル崩壊がもたらす経理処理の苦しみが待っている。
彼らにとっては大きく目減りした資産と、まるまる残った負債勘定とのギャップを、どう埋めるか大きな問題を抱え込む。
投資損や評価損をどう経理処理するかは、企業や金融機関の体力にもよるが、それぞれが巨額の損失処理を迫られる。
一方、バブル膨れしてきた負債勘定の借入金や預かり金を、どう返済していくのか。
これが、資産デフレ問題であって、経済や社会へ大きなしわ寄せをもたらすことになる。
蒸発してしまった資産の穴埋めで、バブルに踊っていたところはどこも、巨額の資金が必要になる。
それが経済全体では、資金不足と金利上昇を招くことになる。 それと、信用収縮だ。
現在のカネあまりからは想像もつかないが、資産デフレが発生すると必ず起こる現象である。
株価や債券価格の暴落による大混乱だけではない。金利上昇や信用収縮で経済活動全般に大きなダメージを受ける。
酷いことになるが、それはマネー膨れしてきた経済が、実体経済をベースとしたまともなものへの回帰でもあるのだ。
いずれ、その時になれば詳しく書くが、金利の正常化や実体経済の価値観が重きをなすことになろう。
つまり、金融バブル崩壊はどうせ避けられないのだから、早ければ早いほどいいということにもなる。