富の偏在にブレーキをかけよう(前編)

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米国では、上位1%の富裕層が株式や投信の52%を所有しているとのこと。 (2020年4月~6月)

すさまじいほどの富の偏在ぶりである。 金融を緩和し、資金を大量に供給すればの、マネタリズム政策の唯一の成果(?)がこれだ。

この40年近く、先進各国を中心にしてマネタリズム政策で経済を成長させようとしてきたが、ほとんど成果は上がっていない。

唯一、債券や株式市場などが大活況となり、その資産効果が富裕層をさらに潤すことになっただけだ。

別の見方をすると、そういった現実がマネタリズム政策の限界というか、むしろ弊害をさらけ出したといえよう。

それが故に、新著でも書いたように、現在進行中の壮大な金融バブルは一刻も早く崩壊して、実体経済を中心としたものに回帰すべきなのだ。

現行のバブル株高が吹っ飛べば、世界の金融全般が崩落常態に陥ろう。 それが、マネタリズム政策の終焉となる。

一時的には酷い混乱は避けられないが、混乱の中から「実体経済を中心とした金融や経済活動」が再認識されていくはず。

お金さえバラ撒けばのマネー資本主義から、生活者と企業とが経済活動の大半を為す、ずっと落ち着いた経済に戻っていくのだ。

その過程で、富の偏在は修正されていく。 また、ゼロ金利や資金はいくらでも調達できることで弛緩しきった事業経営、すなわちゾンビ企業も片っ端から吹き飛んでいく。

そうなってくると、地に足のついた事業経営があちこちで脚光を浴びるようになっていく。

金利も復活し、まともで健全な経済では当たり前の当たり前が、ようやく戻ってくるのだ。

もちろん、自由競争経済の生命線ともいえる、自主自立と優勝劣敗・適者生存の大原則は絶対である。

その厳しさを経ながら、真に生命力ある企業や個人が、次々と浮上してくる。

これが、健全な経済の姿であり、金融資産さえ持っていればどんどん富が増えていくマネー資本主義との違いである。

いってみれば、働かざるもの食うべからず、すなわち経済の原点に戻ることになる。