一国の経済とグローバル企業

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 よく日本経済は人口減少と高齢化で成長鈍化は免れない、それどころかその規模を縮小していくだろうといった見解が報道される。 エコノミストなど専門家や学者先生の長期見通しも、多かれ少なかれ同じ方向にある。

 今日は、そういった見解の是非は横へ置こう。 それよりも長期投資家としてしっかり押さえておきたいのが、、一国の経済を超えてビジネスを展開するグローバル企業の将来可能性についてだ。

 国連の人口推計は一番確かな将来予測といわれる。 その人口推計が昨年の11月に上方修正された。 うち、中位値予測でみると2050年の地球上人口は93億人から96億人へと増加改訂となった。

 ここから36年弱で、地球上の人口は25億人も増えるのだ。 一日あたりにして、18万5000人ずつ世界人口は増え続けることになる。 その分だけのエネルギーや食糧、衣料や住居などが供給され続けなければならないのは自明である。

 そこへ加えてというか、もっと早いピッチで、ありとあらゆる生活需要が拡大していくことになる。 もう世界中ほとんどの国の人々が、その水準はともあれ物質的に豊かな生活というものを知ってしまった。

 人は一度でも豊かさを味わったら、より豊かな生活へのあこがれは止めどもなく拡大していくもの。 そういった需要の爆発は、日本のようなモノがありあふれる先進国水準に達するまでは延々と続く。 先進国の人々も現在の生活水準は、なんとしても守ろうとする。

 となると、世界の生活者需要は地球上96億とか100億人の人々が先進国水準の生活を実現するまでは、爆発的な拡大をし続けると考えられる。 現在の世界経済の規模が一体どこまで膨れ上がるのか、ちょっとばかしの予想では追い付かないというか想像を絶するものがある。

 とてつもない需要の持続的爆発は、構造的なインフレ要因が横たわっているといってもいい。 いま世界経済のデフレ化を危惧する声もあるが、そんなものは一時的な現象にすぎない。 今後、エネルギー、食料、水、工業原材料がどれほど必要とされるのか予測すらつかない。

 そう考えてくると、グローバル企業にとってのビジネスチャンスは、無限といっていいほどに広がっているはず。 その経営スタンスは、もはや一国の経済がどうのこうのなんて超えてしまっている。 そうでなければ、グローバル競争にとても伍していけない。

 グローバル企業といっても、大企業だけの話ではない。 規模は小さなニッチ企業でも、世界が絶対に必要とする技術を売り物に利益率の高い経営を展開できる。

 どうだろう、われわれの長期投資の可能性がどこまで広がるか、考えるだけでも楽しくならないか。 すくなくとも、さわかみファンドは大きく大きく羽ばたいていく。