企業価値向上表彰

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 東京証券取引所が昨年から企業価値向上表彰というものをやっている。 今年はその第2回目で、明日の午後には大賞を受賞する企業1社と優秀賞4社が発表される。

 これは、全上場会社(3,400社ほど)の中から過去数年間の ROE (株主資本利益率)の平均または成長率が良好な企業400社を選定する。 そのうち、資本コストを上回る企業価値の創出に優れた成果を上げている企業100社を選別する。 ここまでは財務数値を基にした定量的な方法による選定である。

 次のステップとして、経営態勢等に係る定性的な選定がなされた。 これは東証が上述の100社に、企業価値向上を図るための経営態勢等についてのアンケート調査を実施したもの。 相当に詳細なアンケートで、その返答に各社がどこまで企業価値向上という意識を高めているかが如実に表れてくる。

 アンケートの内容などをもとに、上場会社表彰選定委員会がファイナリストを選定。 そして、各ファイナリストのトップマネジメントに対して選定委員会はインタビューを実施した。 併せて東証の方で投資者から意見を募集した。

 インタビューの結果等に基づき、上場会社表彰選定委員会が審議して、大賞会社を決定し優秀賞4社を選定したもの。 半年を超える膨大な作業が続いたが、東証の事務局は大奮闘してくれた。

 一橋大学大学院の伊藤邦雄先生を座長とする3人の選定委員の一人として参加させてもらっているが、選定作業の過程でもこの企画は実に有意義だと素直に評価できた。

 第1に、東証が先導して上場会社に企業価値向上への意識を高めさせることで、より多くの投資家に日本株市場への参加を促すことになる。

 第2に、表彰の栄誉を手にせんと各企業が競って企業価値を高めてくれれば、それだけ投資家からみれば買い安心感につながり、株価上昇を下支えする。

 第3に、企業価値の向上をベースとした株価上昇は、投機的な株価つり上げと比べ株価形成の健全性や安定度で勝る。 持続的な株価上昇にもつながっていく。

 第4に、そういった株価上昇は企業にとっても歓迎で、ますます企業価値を高めようと経営努力を重ねることになる。 それは、日本株市場の健全なる拡大発展に直結する。

 どの企業が表彰されるかは、明日の楽しみにしてもらおう。