最近の新聞見出しでよく目にするのが、中国の国営企業が過剰設備を抱え込んでいる問題。 これまでは、地方政府などの強力なバックアップもあり、ゾンビ化を強めてきていた。
そういった国営企業を市場淘汰の洗礼にさらすことで、競争力のない企業に退出を迫るという方向にあるようだ。 それをもって、ゾンビ企業を退治するといっている。
まったく同じことを長いこと指摘され続けているのが、わが日本である。 ただ税金を食うだけで、なんら富を創出していない民間企業や政府系機関そして団体が、星の数ほどある。
それらの存在が、日本経済の活力をどれほど削いできたことか。 国や地方自治体から与えられる仕事に群がり、規制や監督権といった名目で関連の仕事をつくりだしているだけ。 どれも社会や経済に新たなる富をもたらしていない。
彼らは雇用を生んでいるというが、そんなもの民営化すれば民間企業でいくらでも代替できる。 役所仕事と違って、はるかに効率的かつ効果的な雇用創出となる。
実のところ、日本経済のゾンビ化は、もっともっと根が深い。 租税特別措置法に代表されるが、日本全体でみると法律に基づいた既得権益の、なんと多いことか。
法律を盾にできるということは、政治や中央官庁そして一部の民間企業や団体が深く絡んでいるのは容易に想像できよう。 彼ら法律に守られた利害関係者が、実に巧妙に税金を食っているのだ。
ただ税金を食うだけで、社会や経済になんら富を創出しない。 それだけではない。 彼らは既得権益を死守しようとする。 それが、どれだけ新たなる競争を阻害していることか。
ここに、日本経済がなかなか活性化しないどころか、どんどんダラシナクなっていっている問題の根っ子がある。 既得権益層が楽を決め込みつつも、一方で新たなる競争を排除しているのだから、もうどうにもならない。
どうしたらいい? 政官民の癒着が法律に守られているのだから、ちょっとやそっとでは解消できそうにない根の深い問題である。
こういった問題にこそ、マスコミの出番がある。 政官民の癒着を片っ端から暴き出して、社会の問題意識をどんどん喚起するのだ。
政治家などのゴシップをヒステリックに騒ぎ立てるのは、もういい加減にしよう。 それよりも、経済がらみの不合理さを次から次へと世にさらけ出してもらいたい。
なかなか表に出てこない既得権益層の実態を世の中が知ることで、日本経済の奥深くで巣食っている寄生虫を一掃する、はじめの一歩となる。
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