長期投資できる幸せ

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 つらつら考えるに、長期投資できるということは、すごいことである。 人類が生み出した最大の知恵だと、大げさに言ってもいいのでは。

 いろいろの、すごいがある。 ひとつずつみてみようか。 第1に、お金に働いてもらうこと。 人は働いて生活の糧を得ていく。 労働の尊さを子供のうちから教えるのは万国共通である。

 まともに働いて、まともに生きていく。 それでもって、自分や家族の生活を成り立たせ、かつ経済や社会の健全なる発展に貢献する。 それを、お金にもやってもらうのだ。

 自分のお金にも、まじめに働いてもらうと、どうなるだろう? 自分プラス自分のお金の働きで、「自分にも社会にも、より多くの富をもたらすことができる」はず。 すばらしいことと思わない?

 第2に、一度限りの人生を、2倍3倍に楽しめる。 お金に働いてもらうといっても、どこでどう働くかは自分で選べるのがすばらしい。

 長期投資仲間に、こんな人がいる。 就職のとき、あこがれのT 社に入れなかった。 大好きなT 社だから、別の会社に就職してからは、貰った給料の一部でずっとT 社の株式を買い続けた。

 自分はT 社で働くことがかなわなかった。 だったら、自分のお金には生涯T 社で働いてもらおうと決めたわけだ。 T 社の株式を買うのには、入社試験などない。 自分の意思と熱い思いでもって、T 社の株を買うだけのこと。

 時が過ぎて、いつの間にか定年が見えてきた。 ふとみたら、ずっと買い続けたT 社の株数は、ずいぶんと増えていた。 そして、T 社の大発展もあって株価は長期的には、すごい値上がりトレンドを描いてきた。

 計算してみると、1億円を超えているではないか。 その人は自分の人生を自分の会社でだけではなく、T 社の成長にも貢献することができたわけだ。 そして、びっくりするほどの財産も築けてしまった。 ステキな話だと思わない?

 第3に、より良い世の中をつくっていく方向でまじめに頑張っている会社を応援しつつ、一般の投資を凌駕する財産づくりができてしまう。

 米ウオートン校のシーゲル教授は、投資リターンの研究において世界の第一人者である。 シーゲル教授によると、長期でみると株式投資のリターンは、インフレを差し引いたネットで年6.7%になる。 一方、債券はインフレにからっきし弱く、ネットでは年1.2%ほどでしかないという。

 実際、株式市場を長期で均してみると、平均株価は年10%ほどの値上がりとなっている。 ところが、短期的には値上がり値下がりの変動が大きいから、世の多くの投資家は機関投資家も含めて、それに振り回されてしまう。 

 上昇相場ではガンガンの強気で買い上がり、下落相場に怖くなって安値を売る結果、多くの投資家は平均株価の年10%に遠く及ばない成績に甘んじている。

 そこで、インデックス運用が生まれてきたわけだが、現在の株安時にはインデックスファンドすら買おうとしない投資家ばかり。 だから、株安が続いているわけだ。

 その点、長期投資家は企業を応援しようとするから、現在のような株安時には真っ正面から株式を買い増ししていく。 結果的には、安値を買って将来のリターンにつなげていけるわけだ。

 第4に、応援しようとする企業を選別することの素晴らしさ。 一般の投資家のように、ただお金が儲かればいいのではない。 世の中にとって大事な企業に、もっともっと頑張ってもらいたいとするのが長期投資である。

 世の中に良かれという方向で頑張っている企業は、長期的にみると大きく成長する。 その果実が、長期投資の抜群の成績となっていく。

 好例が、さわかみファンドだろう。 設定来16年5カ月となるが、ずっと日本経済は低迷と縮小のトレンドにあった。 それでも、年率複利で4.4%のプラスという成績を残している。

 平均株価に対しては、2倍の成績差をつけている。 世の多くの投資家はなかなか平均株価に勝てないといって、インデックスファンドを指向する。 ところが、こちらは軽々とインデックスの2倍を行っているわけだ。 ひとえに、応援企業を選別した結果である。

 ちょっと長くなったので、今日はここまで。 長期投資の素晴らしさを、この週末にゆっくり考えてみてください。