マネーの大量供給と 信用拡大

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国際金融協会(IIF) によると、世界債務は300兆ドルを超えているとのこと。

世界のGDPに対して、なんと3.5倍の大きさである。 この10年で、2.5倍から3.5倍へと膨れ上がった。

これは、国や企業・個人そして金融機関の債務を全部合計したものだが、凄まじい債務の膨張ぶりである。

その背景には、先進国を中心とした世界的な金融緩和政策の深掘りがある。

マネーの供給をどんどん増やしていき、それでもって潜在成長率が落ちてきている先進国経済を成長させようとしてきた。

しかし、先進国の成長率はさほど伸びていないように、マネーの大量供給にも拘わらず経済規模はさして拡大していない。

一方、債務の方だけはどんどん拡大し、いつの間にか世界のGDPの3.5倍にもなってしまっている。

債務が拡大しているということは、それだけ信用が拡大しているということだ。

経済活動は信用で動いている部分が圧倒的に大きく、信用供与が滞りなく続いている間は、なんの問題もない。

とはいえ、世界のGDPに対し3.5倍もの債務残高というのは、要警戒である。

まして、米欧では金利が上昇に転じてきている。 そして、金融の量的引き締めも始まった。

ゼロ金利やマイナス金利といった状態で、野放図に信用供与が拡大してきた部分は、それなりの影響が出てくる。

いまのところ、これといって大きな歪みも出てはいないが、それも時間の問題だろう。

そのうちどこかで、債務不履行(デフォルト)が相次いで発生しだしたら、世界の過剰債務が一気に火を噴く。

大きな債務残高を抱えている国や企業そして金融機関の台所は火の車となろう。

債務という以上は、返済義務がある。 返済が滞りなく進められる間は、なにも問題はない。

ところが、一部にでもデフォルトが発生しだしたら、どの債権者も大慌てで資金の回収を急ぎ始める。

それが信用の急速な収縮を呼び、金利の一層の上昇とともに経済活動にも大きな影響を及ぼす。

インフレが来れば、債務はチャラになる? たしかに、債務者はインフレの分だけ支払い負担は軽くなる。

しかし、債権者からすると冗談ではないとなる。 国の借金は国民にしわ寄せが押し寄せてくる。

ことほど左様に、ここまで金融緩和政策で突っ走ってきたが、いろいろ違った展開となっていくのは間違いない。