経済合理性という鉄槌

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金融マーケットのみならず、世界の経済運営でマネー至上主義が暴走を続けている。

マネー至上主義? そう、なんでもかんでもマネーの力に頼り、マネーの量で押し切ろうとする考え方を指す。

とにかく金融を緩和し、資金を大量に供給して、マネーの力で経済を動かそうとするわけだ。

たしかに株式市場など金融マーケットは、マネー至上主義による買い上げを大歓迎しよう。

また株価上昇などが寄与して、世界の金融所得は先進国中心に大きく膨れ上がっている。

しかし、世界経済全般でみると、成長率は期待ほどに高まっていないし、国民の多数で低所得化が進んでいる。

いわゆる中産階級がどんどん没落していって、一部の高所得層と大多数の低所得層とへ所得の乖離傾向がはっきりしてきた。

それをみて、デジタル社会の到来に乗れた人たちと、取り残された階層とに分別する見解を、よく耳にする。

あるいは、教育格差という問題意識だ。 高所得層の子弟は高度な教育機会に恵まれるが、低所得層はそれが望めない。

その結果、高所得層と低所得層との固定化が社会全般で進んでいるという指摘もある。

そのあたりの社会現象は別の機会に検討するとして、今日はマネー至上主義の限界に焦点をあてよう。

金利をゼロ同然にまで下げ、資金をこれでもかこれでもかと供給してきたが、その反動にそろそろ要警戒なのだ。

いわゆる経済合理性という鉄槌が下される、そのタイミングがもういつ到来してもおかしくない。

第1は、先進国中心にこれだけ資金を大量にバラ撒いてきたのだ、お金の価値が下がっているのは間違いない。

それでも、いまだインフレにつながっていないと、各国政府や中央銀行は高を括って金融緩和を続けている。

ということは、将来インフレのマグマ溜まりは、どんどん巨大になっているわけだ。

その一部が、世界のあちこちで噴き出しつつあるが、いずれは大爆発となろう。 それは避けようがない。

第2に、史上空前のカネあまりで、ジャンク債はじめ信用度の低い投資案件に世界中のマネーが買い群がっている。

なにかの加減で、それらの一角が崩れ出したら、リスク回避の投資解消売りが爆発的に広がるのは眼に見えている。

それが、債券はじめ株式などの総売りに連鎖していくのは、もう止めようがない。

それが第3として、金融マーケット全般の総崩れと、長期金利の急上昇につながり、資産デフレと信用収縮問題が世界経済を襲う。

これら一連の現象は、マネー至上主義ならびに各国政府や中央銀行など人為の過信に対し、ついに経済合理性の鉄槌が下されたということになる。