本モノの地産地消

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6月4日に予定していた、生マグロ直販クラブの勉強会が、緊急事態宣言の延長かどうかで開催が微妙になってきた。

開催できるか延期か、2日までには確認のメールを入れるが、それにしても多くの人々の期待には、やりがいを感じる。

和歌山県の那智勝浦港では、昭和の初めから今日までずっと、巻き網漁の漁船は入港拒否してきている。

あらゆる魚を大小構わず一網打尽にしてしまうのが、巻き網漁である。 効率がいいからと、国や大手の水産会社が力を入れている。

しかし、巻き網漁は漁業資源を獲り尽くしてしまう恐れがあるので、漁業関係者の間では制限すべしの声が上がっている。

一方、那智勝浦の漁業関係者がこだわっている延縄漁は、マグロなどを一本釣りする。

それも、大きな釣り針でやるから、大きく育った魚しか食いつかない。

これなら海の資源を大事に育てながら、感謝して漁業させてもらえる。 それこそ、持続性ある生き方である。

もっとも、延縄漁はマグロなどが食いついてくれないと釣れないので、効率は極めて悪い。

それが故に、那智勝浦港はずっとジリ貧にあえぎ、将来不安から後継者難に頭を悩ましている。

であるならば、こだわりの延縄漁を頑張ってほしいと思う消費者が、お手伝いしていけばいい。

大体からして、味が違う。 すごい量の魚を一網打尽にしてしまう巻き網漁では、獲った後の血抜きが遅れて味が落ちてしまう。

そういった冷凍マグロが豊洲市場などを通して、スーパーなどの店頭に並ぶわけだ。

その点、一本釣りでは魚を傷つけずに獲って即座に血抜きするので、新鮮なまま冷蔵できる。

そして冷蔵のまま、つまり生マグロを一般消費者の食卓に並べてもらおうというのが、「さわかみ生マグロ直販クラブ」である。

具体的には、那智勝浦港で競り落とした味の載っているマグロを順次、あらゆる部位を無駄にすることなく解体していく。

そのうち、直販クラブ用の部位、大トロ、中トロ、赤身、中落などを真空パックにしていく。

出来上がった真空パックは、マイナス60度の冷凍庫に入れるが、生身を冷凍するのではないので、生マグロの状態をずっと維持できる。

ある程度、真空パックが揃った段階で直販クラブの会員にネット案内して、好きな部位を好きなだけ発注してもらう。

その注文を那智勝浦港から、会員の自宅まで直送される段取りだが、必ず受け取ってすぐ自宅の冷蔵庫の冷凍室に入れてもらう。

そして、お勧めの解凍方法に従って、食卓に並べてもらう。 ここを守ってもらうことで、本当に旨い生マグロの直販は完結する。

そう、生産者から消費者まで、海からの恵みを皆で大事にし、感謝していただくことで、本モノの地産地消が完成するのだ。