金融や金利の正常化と長期投資

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先々週5回にわたって書いた、「日本の金利、いずれ上昇の途に」で質問をいただいた。

米国の中央銀行である FRB が金融や金利の正常化を進めており、そこにヨーロッパ中央銀行も追随の方向にある。

ひとり日本だけが相変わらずジャブジャブの金融緩和を続け、日銀の剛腕でもってマイナス金利を維持している。

しかし、そのうちグローバルベースの金利裁定が働き始め、日本の金利も米欧に引きずられるようにして上昇に転じるのは避けられない。

日本の金利が上昇し始めると、金融はじめ経済活動全般が大きな混乱に陥る。

現に、米欧のマーケットでは長期金利の上昇懸念をマイナス材料視して、2月に入ってからは荒れ気味となってきているではないか。

そのような事態となっても、長期投資家は泰然自若としていられると書いた。 そこのところのつながりが分からないという、ご質問だ。

それは、こういうことである。 リーマンショックで世界の金融バブルが崩壊した後、先進国や中国は異常なまでの金融緩和に走った。

1929年の大恐慌の再来をとにもかくにも回避しようということだったが、一応その目的は達成し世界経済は安定軌道に乗ってきた。

もうそうなると、できるだけ早くジャブジャブの金融や政策金利ゼロ状態を是正したいとなるのは当然のこと。

モタモタしていると、新たなるバブルに発展しかねない。 実際、不動産や株式バブルは急ビッチで高進しているではないか。

次なるバブルの芽を早め早めで摘んでおこうというのが、米欧の金融や金利の正常化政策である。

正常化の流れに沿って、長期金利はじりじりと上昇の途についていく。 それが経済や金融マーケットに少なからぬ影響を及ぼす。

もちろん、日本も米欧に引きずられて金利上昇と、その経済的混乱を覚悟しておこう。

ただ、ここで頭を整理しておきたいのは、金融や金利の正常化の流れで発生する混乱であることだ。

われわれ長期投資家は、ジャブジャブの金融緩和やゼロ金利政策そのものが尋常ではないと考えてきた。

したがって、金融や金利正常化の流れは、むしろ当然の方向であって、投資戦略の見直しなど全く必要としない。

その過程で発生する経済やマーケットの混乱も、政策に乗ってきた企業群を中心に厳しい展開となるだけのこと。

まともにビジネスを展開している企業群には、どんどん追い風となっていく。 そう、長期投資家にとっても追い風となる。