原油価格の下落や資源需要の低迷で、世界のマネーは相当に浮き足立っている。 もともと、マネーは機をみるに敏である。 儲け話に群がるのにも、リスク回避で逃げ去るのにも、なんの躊躇もない。
利に聡い半面、損失に対して病的なまでの忌避感を持っているのは、マネーそのものが何の価値も持っていないからだ。 1万円札だって紙切れであり、コストは20数円の印刷物に過ぎない。
マネーが力を発揮するのは、その交換価値にある。 より大きな交換価値を持ちそうなときは、皆がより多くのマネーをかき集めたくなる。 交換価値が下がりそうになるや、一刻も早くマネーを手放して、モノに替えておこうとする人であふれかえる。
そういった根無し草のようなマネーに群がる人々を、昔から日本でも世界でも浮利を追う者として、地道な商売からは忌み嫌われている。
ところが、世界のどのマーケットでも根無し草のマネーを必死に追いかける、いってみれば浮わっついた連中が堂々と主役を張っているのだ。 彼らはマーケットでの価格変動に体当たりしていっては、儲かった損したの毎日を送る。 それを相場という。
相場のことは相場に聞けといわれるように、変転きわまりないものである。 まさに、この2週間がそうだ。 いまマーケットでは不安感が充満しているが、これもちょっとした戻りで一掃される。
そんな変転きわまりないものに、ハラハラドキドキするのはやめておこう。 マネーが本来の役割を果たすべき交換価値の先の先、すなわち人々の生活は昨日も今日も何ら変わることなく続いている。 人々の生活を支える企業のビジネス活動も、まったく動揺していない。
ということは、われわれの長期投資もいつも通りで、応援したい企業とともに将来を目指して進んでいくだけのこと。 ひとつ楽しみなのは、エネルギー価格や資源価格の下落で、新興国のみならず世界の消費需要がそのうち盛り上がってくることだ。
世界中の人々のより豊かな生活を求めてやまない願望は決して消えてなくならない。 その中で、消費需要が一番大きいのだ。 そこのところを忘れまい。