恐れるな、買っておこうぜ

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 昨日は、中国の理財商品で信用不安が高まっているとか、世界経済の先行きを懸念してとかで、日本株は大きく下げた。 相場を語るために書いているわけではない。 

 日本の投資家とりわけ個人の長期投資家に強く語りたいのだ。 海外のヘッジファンドが売ってきたのを見て、日本株市場が浮足立って売りが売りを呼ぶ展開となった。

 しばらくすると、なにをそうも慌てたのか、ネズミ一匹いやしないではないかといった展開となる。 日本株市場でしょっちゅう繰り返される大騒ぎである。

 どうしてこうなるかというと、腹の据わった投資家がいないからだ。 日本には機関投資家を含め、相場にどう反応するかを株式投資としている人達ばかり。 相場を追いかけるのは、株式ディーラーとかトレーダーの本業であって、投資家の仕事ではない。

 早い話、相場が上昇スピードを上げてくるにつれて慌てて飛びつき買いすれば、高値づかみさせられることもしばしば。 高値を買ったはいいが、ヘッジファンドなどに売りを仕掛けられて相場が急落するや、真っ青になって売り逃げに走る。 そんな繰り返しでは、投資収益を得られるはずがない。

 投資家というものは、安い時に買っておいて高くなるのを待ち、そこで利益を得ようとするのが本業である。 ある程度の時間軸を持って市場に参加するのが、投資では基本的な心構えである。

 一方、株式ディーラーやトレーダーそれにヘッジファンドなどは、相場そのものにぶつかっていくから瞬間瞬間が勝負である。 そんなところへ投資家が顔を出したところで、格好の餌食とされるだけのこと。

 このあたりを混同して、中途半端きわまりない株式投資まがいの行動でうろたえているのが、日本のほとんどの投資家である。 その挙げ句に、株式投資はリスクが多いとか、なかなか儲からないとか、のたもうているから世話はない。

 一度でいいから、株価が大きく下げた時に勇気を出して買ってみればわかる。 もちろん銘柄は選別しなければならないが、安いところで買っておけばちょっと株価が戻るだけで、もういつでも利益を確保できる。 それが投資というものなんだけどね。

 そういった投資家らしい行動が、日本には全く欠けている。 世界最大の債権国で個人の預貯金マネーも800兆円を超えるのに、ヘッジファンドなどの売り崩しで逃げ惑うへなちょこ投資家ばかり。 その結果、日本株市場の時価総額は20兆円30兆円と吹き飛んでいる。 日本経済の4%から6%規模で資産価値が消えているんだよ。

 だからこそ、われわれのような腹の据わった投資家がもっともっと増えてきて欲しいのだ。 昨日の下げでも1兆円ほど買いを入れてやれば、海外のヘッジファンドたちは真っ青になって買い戻しに走るのは目に見えている。 株価が暴落するどころか急反騰でニヤリとするのは、日本の投資家全体であり日本経済でもあるのだ。

 投資家らしい投資家が殖えることで、日本経済はいくらでも元気になれる。 それで嬉しいのは国民全体である。 その大事な役割を果たすのが、個人の長期投資なのだ。 株価が下がったぐらいでビクビクしている暇はない。

 週末から月曜にかけて関西出張なので、次の長期投資家日記は18日の火曜日となります。