明治へと時代を切り開いた一人、高杉晋作は死の間際に ”おもしろくもなき世を、おもしろく” で始まる、辞世の句を残している。 三田尻沖に停泊中の幕府艦船への襲撃を企て、一人で決起した。 寺で待つことしばらく、80人ほど集まったところで、進軍を開始した。 夜襲の大戦果が、幕府恭順派が主流をなしていた長州の反論を一挙に覆し、反幕府体制に舵を切らせたのは歴史の語るところ。
病に倒れ、29歳で世を去った高杉晋作が残した ”おもしろく” の重みは、到底われわれの及ぶところではない。 それでも、一人ひとりが自分の人生を ”おもしろがって” 生きていくのは、素適なことである。
人生をおもしろがるといっても、いろいろある。 ただ享楽的におもしろがって日々を過ごすのだって、その人の価値観に沿っているのなら、それも良しだろう。
一方、”おもしろく” を前向きの挑戦に置き換えてみると、これまた人それぞれであるが故に、無限の広がりを持ってくる。 たとえば、長期投資家が目指す ”いい世の中をつくっていこうよ”
をひとつとっても、”なにが、良い世の中なのか” これまた無限に可能性が広がる。
可能性の広がりの中には、一人ひとりが美意識や精神性の高さや品格といったものを、どの程度まで意識するかでも大きく違ってくる。 また、そこへお金とかをどう絡ませていくのかでも、人間の本性が現れたりで、多種多様の展開となっていく。
要するに、千差万別の人間模様が広がっていく中に、前向きに挑戦しようとする自分がいるわけだ。 これは、おもしろいことである。 どこで、どのような展開となっていくか神のみぞ知るであって、その瞬間瞬間に自分なりの道を選択していかなければならない。 選択によって、またどんな新しいことに出くわすか、これまたゾクゾクしてくる。
やってみれば、そう難しいことではない。 むしろ、自分の人生にいい意味での欲が出てくる。 同時に、次から次へと新しい局面が広がっていくから、仕事でも日々の生活でも時間のたつのがやたら早く、つまらない悩みなどに沈んでいる暇などない。 その分、否応なしにより前向きとなっている自分に驚くことになる。
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