日本経済の活性化も、将来不安の解消も、国民がお金をつかうことが鍵となる。 いつも書いていることだが、経済はお金をつかうところから始まる。
お金をつかうことで、それを受け取った人の収入となり、そのお金がまた別の人に向かっていく。 この流れが経済活動というものである。
したがって、日本経済を元気にさせるには、人々が活発にお金をつかうに限る。 高度成長期には家電製品やら自動車やらで、国民はお金をつかいまくったではないか。 それがまわりまわって経済は成長するし、給料の増加にもつながり将来不安などかけらもなかったはず。
ところが、この26年間というもの景気浮揚策ということで、国が借金を重ねては予算を投入してきただけ。 一方、国民はもう買いたいものはないし将来が不安といっては、お金を抱え込むばかり。
そこで何が起こったかというと、今年の28兆円を含め国は400兆円ちょっとの経済活性化予算を計上してきた。 その横で、個人の預貯金残高は360兆円ほど増加している。(個人金融資産、日銀速報、2016年3月末)
なんのことはない、国の借金は1000兆円を超して膨れ上がったが、景気はさっぱり上向かなかった。 ただ、個人や家計の預貯金残高だけが着実に増えていっただけ。 日本経済にとっては、なんのプラスにもなっていない。
やはり、国民がお金をどんどんつかうことだ。 それしか日本経済を元気にさせる方法はない。 とはいえ、日本では生活に必要なものはほとんど揃って、もう買い替え需要主体の成熟経済となってしまっている。
もうこれといって、お金をつかう場も対象もない。 だから、余ったお金は預貯金しておこうかとなってしまう。 それが日本経済の停滞につながり、将来不安の増殖という悪循環となっているわけだ。
ここで大事になってくるのは、無理やりでもお金をつかうこと。 もう生活必需品は揃ったから、今度は生活の質を高める方向で、どんどんお金をつかうのだ。
その時、大事なお金をやたら滅茶と浪費するのではなく、心の贅沢や気持ちの満足にお金をつかうこと。 それなら、お金が減っていく損したといった、マイナス感情は働かないはず。
そういった新しいお金の流れをつくっていくべく、さわかみグループではオペラ財団や寄付の財団を設立し、両財団とも公益認定を取得した。
公益財団だから税の優遇が得られるといったメリットを感じ取ってもらいながら、とにもかくにも「心の贅沢や気持ちの満足に、お金をつかう楽しみというか文化」を広めていきたい。 それが、日本経済の活性化につながるのだ。
たとえば、今年のオペラ公演は相当に大掛かりなものとなり、2億円を上回る赤字を出した。 それだけ、さわかみオペラ財団は経済の活性化に貢献したわけだ。
あの公演に感動した方々が、さわかみオペラ財団にもっと頑張ってもらおうといって、賛助会員になる動きが高まってくれば、これまた経済の活性化に寄与する。
逆に、賛助会員が増えないと、さわかみオペラ財団は財政上の制約から、毎年の公演を縮小したりする羽目になりかねない。 それはそのまま、今年ほどの感動は得られなくなることにも。
心の贅沢や気持ちの満足は、自分から進んで求めていくものである。 その流れを高めていくことで、日本経済や社会を穏やかでしっとりした成長軌道に乗せることになる。
★広告 さわかみグループが支援した映画「ザ・テノール」のDVD発売中! あの感動をぜひもう一度!! http://scpshop.jp/