株式市場などで、よく語られる表現で、投資環境の次元が変わったということだ。
AIとか半導体が世の中を変え、まったく新しい経済の段階に入っていくと、株式市場では期待を高めている。
期待を高めているといっても、さらなる株価の高値に向けての期待である。 そこで、パラダイムが変わったである。
バブル相場の最終局面では、しばしば「パラダイムが変わった、ここからが本当の上昇相場だ」と、騒ぎ立てる。
ずいぶん高値追いしてきた。 買い気をさらに高めるには、もう一段高いキャッチフレーズが欲しい。
そんな時に、投資家や市場関係者たちが口にするのが、「パラダイムが変わった、これからが本番だ」である。
1980年代後半の日本のバブル時も、「東京ウオーターフロント」を合言葉に、パラダイムが変わったと大騒ぎした。
東京ウオーターフロントを代表とした日本各地の再開発で、経済価値も成長率も高まると、日本中が期待した。
それが、日本中の地価や関連企業の株価の大幅高へと、つながっていった。
たしかに、その後、東京ウオーターフロントなどいくつかの再開発は実現した。
しかし、90年代に入ってバブルが弾け、株価は60%強の下落をした。
いま、AIとか半導体を大騒ぎしているが、株価の方は出来上がっていく将来をも、買い上がってしまった感がある。
買って買いまくってきて、もう新たな買い理由がない。 そこで、持ち出してきたのが、「パラダイムが変わった」である。
投資家や市場関係者たちは、もっともっと株高を指向する相場展開を期待したい。
そんな彼らの期待は期待として、経済合理性の働きは別ものである。
経済合理性の働き? そう、上がったものは下がるし、下がったものは上がるという自然の姿だ。
本当にパラダイムが変わって、まったく別次元の株価形成に入っていくのか?
それとも、経済合理性の働きで、いよいよバブルが弾けていくのか?
まあ、これからの世界の株式市場の展開を、とくと眺めるとしよう。
われわれ本格派の長期投資家はずっと前から、現在進行形のカネ余りバブル高のマーケットから離れている。
というか、経済合理性の働きに忠実な投資運用を心掛けている。 つまり、バブルは弾けると読んでいるわけだ。
さあ、これからどんなドラマが見れるか、大いに楽しみである。
