放漫財政に免罪符か

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いまこの時点では、国の財政支出が急拡大し、一層の赤字国債発行となっても、なんの異論もない。

ああだこうだ抜きで、感染抑止と生活に困っている人たちの救済や事業継続のための支援が優先される。

まさに、緊急事態である。 その対策に、国も国民も一致協力して当たるべきである。

ただ、この緊急事態が一段落し、経済活動も平時に復旧してくるにつれて、大きな問題が浮上してこよう。

それは、国の財政がボロボロに悪化し、国債発行残高と国の借金が危機的な水準にまで膨れ上がってしまっていること。

そして、日銀の総資産が現時点でも日本の国内総生産(GDP)を上回っているが、さらに肥大化していることだ。

もうすでに、日銀は事実上の財政ファイナンスでもって、国債発行残高の43%を保有している。

それが、さらに進むのだ。 日銀の財務がこれまた異常に拡大するということは、通貨の信認を下げることでもある。

その先は、一体どうなるのだろう? 国家財政の悪化に対しては、大幅増税か紙幣の印刷しかない。

今年度の当初予算102兆円に対し、税収見込みは63兆円で、国債発行は32兆円だった。

ところが、コロナ問題で財政支出は大きく膨らみ、逆に税収は相当に落ち込む。 ということは、大幅増税したところで、とうてい間に合わない。

となると、紙幣の増刷り? これまでも、金融機関から国債を大量購入し、その代金を金融機関に積ませる日銀当座預金としてきた。

これは、事実上の財政ファイナンスであり、事実上の紙幣増刷りである。 つまり、インフレということ?

はっきりしているのは、お金の価値は間違いなく下がっている。 だからといって、物価が大幅に上がる状況でもない。

おそらく、本当に価値のあるものが買われることから始まって、インフレの火は横へ横へと広がっていくのだろう。

われわれ本格派の長期投資家が大事にしている価値観の方へ流れが向かってくるのは間違いない。

それはいいのだが、これまで放漫財政に突き進んできた日本の指導層は、その責任がうやむやになるのが解せない。

コロナウイルスの感染拡大という緊急事態、それが故のインフレということで、免罪符を得ることになるのだ。

どちらにしても、ツケは国民にまわってくる。 やはり、長期投資しておくほかない。