有機農法と生マグロ

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最近は、あちこちでオーガニックという言葉を聞く。 オーガニック野菜とか、いかにも健康に良さそうだ。

そのオーガニックだが、有機農法といわれるように、化学肥料や殺虫剤を一切あるいは極力使用しないとのこと。

そう聞くだけで、健康に良いだろう、もっともっと普及してほしいと、イメージは膨らむ。

ただ、現実には化学肥料や殺虫剤なしでは済まないし、それらの役割も無視できない。

地球上81億人の食を確保するためにも、農業収穫量を上げるためにもだ。

その点、生マグロはちょっと違う。 広い海洋を泳いでいるから化学肥料や殺虫剤とは縁がない。

海洋に漂うマイクロプラスティックとか重金属とかの問題はあるとしても、天然は天然である。

ウチの一般財団が、数年前に生マグロの直販クラブをやり始めてから、いろいろ学んできた。

そして、出てきた結論は、なんとしても生マグロの直販を大きく育てていくべきだである。

大半のマグロ漁は、巻き網漁という漁猟法で大量の魚を一網打尽に捕獲される。

巻き網漁では、稚魚も一緒くたに捕獲されるから、マグロはじめ漁獲資源の枯渇化につながる。

それでは、水産会社などにとって漁撈効率はいいかもしれないが、持続可能な漁業から遠く離れていってしまう。

また、大量のマグロを一網打尽にするから、多くの魚が圧死する。 血抜きができないままなので、魚が臭くなる。

それで、生の刺身なのに増粘剤やマーガリンなどを添加して、スーパーなどで販売されているわけだ。

こうなると、農薬まみれの野菜など食品と、さして違わなくなる。

その点、延縄漁で獲られたマグロは即座に血抜きされるから、臭みが魚全体にまわらない。

したがって、刺身として食する場合も、増粘剤やマーガリンといった添加剤は一切必要としない。

まさに、オーガニック刺身なのだ。 もちろん、マグロの一本釣りだから、漁獲資源の保全にも貢献する。

世の中でオーガニック農業が脚光を浴びれば浴びるほど、生マグロ直販クラブを大きく育てていかなければと意を強くする。

今日これから、ウチが扱っている生マグロの真空パックの解凍法をビデオ撮りする。

それが編集できたら、近いうちに生マグロ試食勉強会を再開しようと思う。

それでもって、できるだけ多くの人に天然の生マグロの旨さと、延縄漁を守り育てていく意義を知ってもらいたい。