分散投資とやらは、一体なんのため?

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投資の教科書で必ず出てくるのが、分散投資を心掛けましょうだ。

FP(ファイナンシャル・プランナー)はじめ、投資をアドバイスする人たちは異口同音に分散投資の効用を語る。

一番わかりやすいのは、卵の山を一つの器に入れると、転げた時にすべてを失うリスクがあるというたとえだろう。

それを避けるには、複数の器に分けて卵を入れるに如かずということだ。

なにがあっても心配ないように、複数の器に分けて入れておこうが、分散投資の考え方である。

この考え方は実をいうと、この40年ほどの間に一般化してきたものにすぎない。

1980年代に入ってから最近まで、世界的に株価も債券価格もずっと上昇基調を続けてきた。

そして長期金利は81年9月をピークに、昨年の3月まで一本調子で下げてきた。

その背景には、第一次石油ショック、第二次石油ショックで世界経済は大ダメージを蒙った。

なんとか経済を立て直そうと、米欧日など非産油各国は資金を大量に市中へ供給した。

これが世界的な過剰流動性のはじまりである。 その後も、2000年のコンピュータ誤作動問題、01年の同時多発テロ、サブプライム問題、リーマンショック、コロナ問題とかで過剰流動性はどんどん積み上がってきた。

そこへ、80年代から先進国で年金の積み立てが本格化し、年金資産が急速に膨れ上がっていった。

過剰流動性と年金資産が金融マーケットに流れ込んでいって、株式や債券を買いまくった。

そういった背景で、株式市場も債券市場もすごい勢いで上昇トレンドを描いていったわけだ。

株式はじめどの金融商品も右肩上がりの投資環境が40年も続いたなんて、かつて歴史に例をみない。

そのトレンドの中で生まれてきたのが、インデックスファンドであり、分散投資の勧めである。

分散とやらの勧めも、実のところ金融商品全般の長い右肩上がり相場に乗った上での話。

その間に起こりうる、小さなマーケットリスクに対処しようというだけのこと。

それが故に、リーマンショックのような大きめのマーケットリスクには、まったく対応できなかった。

対応できなかったというよりも、分散投資しようがしまいがお構いなしに、すべてが暴落した。

投資の教科書、まるつぶれの惨憺たる結果となったわけだ。

では、われわれ本格派の長期投資家が大事にする、本当の分散投資とはどんなものか?

それは、明日書こう。