日本経済の低成長、どうして?

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この30年間、日本経済はジリ貧と低成長に喘いでいる。 国民の所得も一向に増えてくれない。

中国など新興国の高成長はいうに及ばず、米国はヨーロッパの経済でも2~4倍に拡大しているというのに。

長期低迷の一因として、なにかにつけて日本企業の生産性の低さが指摘される。

労働者一人当たりの売り上げ額が、さっぱり伸びていない。 だから成長率は鈍いのだという。

そういうことなら、企業全般の売り上げを伸ばせばいいはず。 そしたら、生産性は向上し成長率は高まるし、給料も増える。

実に簡単なことである。 ところが、そうはならない大きな問題が隠されているのだ。 この30年間ずっと続いてきた根本問題である。

日本は、80年代後半のバブルが崩壊した後、土地や株式投機に踊り狂った企業や金融機関を救済する方向へ、政策の舵を切った。

大企業や金融機関が連鎖して潰れたら、経済は大変なことになる。 大量に失業も発生する。

それは、なんとしても防がなければで、バブル企業や金融機関の大半を存続させた。

バブル投機の経営責任を問わない、典型的なモラルハザードである。 それ以来、日本企業のゾンビ化がどんどん進むことになった。

経営に失敗した企業が潰れずに残っているということは、さして税金は支払わないし、生産性の低いまま多くの雇用を抱え続けるのだ。

それでは、日本経済が長期停滞して当然であろう。 そういったゾンビ企業が多数ならば、生産性も向上しようがない。

そこへ、ゼロ金利政策や大量の資金供給で、企業経営全般をますます弛緩させているわけだ。

つまり、自由競争経済では当たり前の優勝劣敗と適者生存による企業淘汰を、国が諸政策でブロックしているのだ。

となると、より勢いのある企業への労働力の移転も進まないし、当然のことながら賃金の上昇も期待できやしない。

実際、ぬるま湯に浸かってきた日本企業全般に覇気がなくなってきている。

このあたりが、日本経済が成長しない最大の要因といってもいいだろう。