世界の経済運営、どこまで弛緩させるのか

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1980年代のはじめに、米国でS&L(貯蓄貸付組合)問題が発生した。

一般市民から集めた貯蓄勘定を放漫融資にまわし、それが焦げ付いて社会問題となった。

あの時、米国政府は全米で展開していた各S&Lの理事長など経営幹部を逮捕した。

その数は5700名ともいわれた。 放漫経営の責任をないがしろにせず、後々の金融経営に対し一罰百戒でもって臨んだわけだ。

ところが、2007年のサブプライムローン問題では経営責任を問う声は出ず、そのまま2008年のリーマンショックにつながっていった。

さすがにリーマンショック発生では、金融危機をなんとしても食い止めなくてはと、銀行経営の正常化を急がせた。

それでも、経営責任を追及する流れには至らなかった。 金融バブルで高給をむさぼった銀行幹部たちは、誰一人逮捕されなかった。

この30年間で、これだけの違い。 市場でのルール逸脱は許さず、浄化作用に対してあれだけ厳しかった米国なのに。

ひとつ指摘できるのは、ウォールストリートの投資銀行などが展開するロビー活動が、米国でも最大の圧力団体となったことだ。

いわゆる金融ロビイストたちが、資金力にものをいわせて政治家をあやつり、自分たちに都合よい政策に誘導する。

この馴れ合いが野放図な金融膨張を招き、そのしわ寄せが米国民や世界経済に及んでくるのだ。

それに抗議して、1年ちょっと前に反ウォールストリート活動がワシントン中心に広がったものの、現在は沈静化している。

さすがに、米FRBは出口戦略として金融と金利の正常化を急いできた。 それも、ここへきて足踏みし始めた。

状況はEUでも日本でも同様である。 各国はゼロ金利やマイナス金利を導入し、中央銀行が大量の資金を供給してはバブル経済を助長している。

金利コストというブレーキがかからないようにしながら、張りぼての景気拡大に躍起となっているわけだ。

なんとも弛緩しきったというしかないが、こんな経済運営どこまで続けられるものだろうか?

庶民感覚からすると、凄まじいインフレが待ち構えているとしか思えないが。