新興国のヴァイタリティー

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 ブラジルの株価がすごい勢いで戻している。

 中国やインドと並び、いわゆる新興国の代表として、ブラジル経済はずっと高成長を謳歌してきた。 好景気が長く続いたこともあって、食料品価格の高騰などインフレ懸念が出てきたので、昨年から金融を引き締める政策方向にあった。

 それをきっかけに、ブラジル経済の減速を嫌気した海外の投資家が売りに転じたため、ブラジル株は大きく調整していた。 金融引き締めも効いてきて、インフレ懸念も収まってきた。

 そこで、ブラジル政府は先月、金利引き下げを発表した。 ちょうどギリシヤ危機などのユーロ問題の深刻化もあって、世界の金融マーケットはリスク回避の方向に走っていた。 ブラジル株も世界の株価と同様に売られた。

 ところが、国内の景気は金利引き下げにすぐさま反応して、活発な動きを見せはじめた。 つられるようにして、ブラジル株も上昇に転じてきたわけだ。

 人々の購買力が高まってきている新興国では、世界の金融マーケットがどうだとかは、どうでもよい。 それよりも、自分の収入と支払い能力との差だけが気になるところ。 何とか買えそうだとなれば、とにかく買いたい意欲が優先して、すぐさま行動となって現れてくる。 

 それだけ、人々のより良い生活を実現したいという欲望が強いわけだ。 手が届きそうならば、なんとしても買いたいという購買意欲の強さこそが、新興国経済のヴァイタリティーなんだろう。

 人口の圧倒的な多さからいっても、こういった新興国の人々のより豊かな生活を実現したいという欲望が 世界経済の主役になっていくのは間違いない。 それを考えるると、いま大騒ぎしている世界の金融問題など小さなことだし、ちょっと長い時間軸で見れば一時の不安材料に過ぎない。 

 世界の大きな流れからみれば、やはり人々のより豊かな生活を願う方向で、なにがお手伝いできるかが絶対だろう。 そこが、長期投資の戦場である。

 

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