円高と法人税

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 円高阻止ということで過去最大規模の為替介入がなされた。 瞬間的には、円ドル相場が円安に振れたが、すぐ押し戻されてしまった。 その後は、1ドル78円台にとどまっていることから見れば、政府日銀のなにが何でも75円台は割らさない意思が勝っているようだ。

 とはいえ、為替相場ほど先が読めないものはない。 いくら日本が円高は困る断固阻止するといっても、ドルやユーロが売られたら放っておいても円相場は上がってしまう。 そこでしゃにむに為替介入したところで、世界の投機筋をはじめとしたマネーが大きな壁となって立ちふさがるのは眼に見えている。

 なにしろ、世界のマネーはドルやユーロをさらに売り込んでもいいし、日本の政府日銀に対し円を買い向うこともありだ。 とにかく弱いところを突いてくる。 めんどうなことに、先進国はもちろん中国も輸出に不利となる自国通貨高を望んでいないから、日本の円売り介入を歓迎するはずもない。 つまり、そう日本の期待通りに円高阻止が進むことはない。

 さは然りながら、これ以上の円高が進むと多くの企業は海外生産へのシフトを加速させるしかなくなる。 それは、日本の技術流出であり国内雇用の喪失となる。 それは拙い、なんとしても阻止しなければならない。 しかし、為替介入はそれほど効果はない。

 そこで発想を変えて、法人税を大幅に引き下げるのだ。 現行の40.6%は世界的にも高すぎるので、一気に30%あるいは25%ぐらいにまで下げてしまおう。 多くの企業にとっては、円高で輸出採算が悪化させられているものの、法人減税でその痛みを和らげることができる。 為替介入は世界の反発を招くが、国際競争で大きく不利となっている日本の法人税を引き下げるのは国内問題で、いつでも実施できるし企業を即座に元気にしてやれる。

 法人税の引き下げは財政赤字を一層拡大させてしまうといった懸念もあろうが、一方で企業活動を活発にさせ景気を上向かせるという大きなメリットもある。 やってみなければわからないが、経済活動が動き出すことで、むしろ税収入が減税分を上回ることになるのではと思われる。 少なくとも、3年もすれば間違いなくお釣りがくるだろう。

 

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